蜷川:劇団では何カ月で別れるか、賭けが行われてね(笑)。4カ月がいちばん多かったみたいで。だって、僕の母でさえ長続きしないと思ってたのに、もう48年も続いてます。
結婚にあたっては、互いの家庭に対する価値観や、日常での生活観が食い違っていた。結婚はその違いを確認する日々だった。
真山:お金はなかったけれど、アメリカ大使館近くの立派なイタリアン・レストランで食事をしたことがあるんです。とても満足したんですけれど、蜷川が支払いをする段になって、私がお勘定の値段を見てしまった。店を出てから『あれだけのお金があれば、お肉を何キロも買えるわね』と口を滑らせたら、蜷川がとつぜん怒り出したの。
蜷川:だって、家庭では味わえない空間や、のんびりしたふたりの時間を過ごして、非日常を味わおうとしてるのに、そんなことを言うんじゃない! と怒ってね。無形の『もの』にかけるぜいたくって、大事だと思ってたから。
※週刊朝日 2014年1月17日号