インターネットが普及し、電子マネーなども登場している昨今。ライブドア元社長の堀江貴文氏はさらなるインターネットの未来をこう予見する。
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先週、立て続けにインターネットを利用して世界的に活躍している企業の経営陣と会う機会があった。彼らと話していて感じたことは、世界中の人が本格的にインターネットを活用して生活やビジネスに役立てつつあるということだ。
これまでもインターネットは利用されてきたが、あくまでも限定的であった。例えば企業間の取引は、いまだに紙の見積書、請求書でやりとりされ、少し進んだ所でも、メールでPDFを添付して、というところが関の山である。
そうしたなか、いま急拡大しつつあるのが本当の電子商取引である。B to C(企業と消費者間の取引)の世界はまだまだシェア10~20%程度であるが、曲がりなりにも電子決済がされている。企業間では原始的な取引がなされ、資金決済も銀行振り込みが普通である。
しかし新しい電子商取引では、企業同士が完全にインターネットで結ばれ、請求書もフェイスブックでメッセージのやりとりをするように取引されていて、差金決済がなされている。新しい取引先は、そのサービスにログインすれば、同じように取引をすることができるのだ。ログインしないと今までどおり請求書のPDFがメール添付されて送られてくるという不便さだ。
つまりソーシャルネットワークが企業間の電子商取引を加速させているのである。今は送金サービスまでは手がけられていないが、早晩、銀行的な信用保証をすることになるだろう。少なくとも、既存の銀行は中小企業に対する信用や保証を放棄している(無担保)段階では、超高金利か貸さないという選択肢しかないのである。
しかし、このような仕組みであればオンラインで取引実績がモニタリングできるので自動的に金利水準を決められるし、取引の信用性の格付けをすることも可能だ。
また多くの個人がスマートフォンやタブレット端末でインターネットに常時接続しているのは大きい。B to BもB to Cもソーシャルネットワークで簡単にサービスを拡大・縮小することができるので、これまでは成立しなかったようなネット上のいろいろなマーケットプレイスが可能になっている。
とくにこの1、2年の動きはめまぐるしい。例えば、スマートフォンの顔認識アプリで決済を成立させるサービスがある。どんどんカードレス化の方向性に向かっていて、レガシーな銀行やカード会社のビジネスモデルは終末期にあると言っても過言ではない。
つまりネットネイティブの会社の決済ビジネスがあと数年以内に彼らに取って代わるのは間違いない。また電子マネー的に使われているオンラインポイントも同様である。アプリがスマホなどで全世界一元的にダウンロードされている現在、国境の壁をポイントはらくらくと越えていっている。これはベルリンの壁が崩壊した以上のインパクトを持っている。国家主権の重要な要素である通貨発行権や徴税権を無力化しつつある。これは国民国家の時代の終焉を意味するのではないか。
※週刊朝日 2013年12月6日号