歯に衣着せぬ発言でおなじみの田中真紀子文科相(68)が、窮地に陥っている。民主党への大逆風に加え、大臣としてスタンドプレーに走った大学認可問題でも失点。「田中王国」と呼ばれた新潟5区で、自民党の長島忠美氏(61)にリードを許しているのだ。

「真紀子さんに今回だけは勝てるような気がしてきている。大きく差をつけ、もう比例復活もできない、という力を見せつける選挙だと思っている」(長島陣営の地元議員)

 とはいえ、真紀子氏がこの状況を黙って見ているはずもない。地元を精力的に回り、新潟弁で得意の毒舌をフル回転させていた。乱立する第三極政党については、「まるで洗濯機の中で靴下も下着もタオルもみんな回っていて、どの候補者が、どの政党が何をやりたいかさっぱりわからない。永田町にいる私でもわからない」とバッサリ。さらには、古巣である自民党の安倍晋三総裁に切りつけた。

「頭の悪い安倍が出てきたことは本当に困った。いちばん怖いのは平和憲法を作り替えるとはっきり言ってることです」

 そんな真紀子氏が唯一、“母性”を見せたのは、4月に問責決議を受け、その後、防衛相の地位を追われた夫の直紀氏(72)についてだった。

「田中直紀さん、せっかく防衛大臣をやってたんだけど、国会答弁でクイズばかり出されて、ヘリコプター何台? 船は何台? と聞かれ、えっえっとなっちゃった。母ちゃんなら適当に答えるんだけども、あの人はくそまじめで、もたもたしているうちに、『ダメだあ、こんなのが大臣でいいのか』と言われて……」

 ちなみにその直紀氏は、演説会の“前座”で登場。

「私は全面的に家内を応援しているところであります。衆議院と参議院はねじれてますが、わが家はねじれてませんので。はからずも、12月16日の投票日は田中の父(角栄元首相)の命日。何とかしてこの選挙を勝ち抜いて、田中の父にご報告ができれば」

週刊朝日 2012年12月21日号