「私には二股のおろちにしか見えない」
日本維新の会の本陣である大阪に乗り込んだ野田佳彦首相(55)は12月5日、石原慎太郎代表(80)と橋下徹代表代行(43)のちぐはぐな関係について、こう揶揄した。「脱原発と言っていた橋下氏と、原発維持の石原氏が組み、どっちの方向性で維新が考えているのか、まったくわかりませんね」。
維新は11月29日に発表した政権公約の政策実例で〈既設の原子炉による原子力発電は2030年代までにフェードアウトする〉と記した。ところが翌日、石原氏が記者の質問に、
「フェードアウトってどういうことですか」
「公約は直させる」
と、まさかの“ちゃぶ台返し”。橋下氏は、「政策実例は議論のたたき台で公約ではないですから」と、苦しい弁解に追い込まれた。
“変節”との批判を受けた橋下氏の矛先は、日本未来の党の飯田哲也代表代行に向かった。未来の表明した「卒原発」「10年後原発ゼロ」の方針に、こう噛みついたのだ。
「未来の党は飯田哲也さんがブレーンについてますが、僕は彼に大阪府市エネルギー戦略会議の委員になってもらって、(原発ゼロの工程表について)1年間議論してもらってるけど、プランはまだ出てない。彼にもプランはないんです。それなのになぜ、『10年後にゼロにする』と言えるんですか。言えばいいという政治だったら、何ぼでもいいこと言いますよ」
そして例のごとく、ネット上でも、この「卒原発」公約について怒涛のツイート。かつての同志への容赦ない攻撃に、ジャーナリストの横田一氏はこう指摘する。
「私が橋下氏に会見で『ウソを言ってる。(原発ゼロのプランは)飯田さんが戦略会議で出していた』と指摘すると、橋下氏は『(プランは)飯田氏の個人的意見で、会議で反対した委員も多くいた』と言い返しました。再度、『委員は反対していない』と食い下がると、無言で立ち去りました」
真相はどうなのか。同戦略会議のメンバーで大阪府市統合本部特別顧問の古賀茂明氏は、こう明かす。
「橋下氏が、飯田氏が示した原発ゼロへのシナリオについて、多くの委員が反対していると発言したことは事実無根です。いずれにしても、エネルギー戦略会議の委員のほぼ全員が、原発ゼロは可能であり、遅くとも2030年にはゼロに出来ると確信しています」
一方の飯田氏は12月2日、大阪府と大阪市の特別顧問辞任を表明した。
※2012年12月21日号