そろそろ終盤戦に差し掛かった衆院選。各党の戦い方について、政治評論家の森田実氏と時事通信社解説委員の田崎史郎氏は次のように話す。

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田崎:与党は選挙で自分たちの政権の実績をアピールするものですが、民主党は消費増税以外にこれといった実績がないから、自民党を攻撃するしかない。与党なのに野党のような戦い方ですよね。

森田:未来の党は、各紙の調査では10~15議席程度とパッとしないけれど、もう少し健闘するのではないでしょうか。穏やかな脱原発勢力で、女性票の受け皿になりますから。民主党から未来の党に移ったある議員は、「民主党にいたときは街頭に立つと罵声が飛んできたが、未来の党に移ってからはそれがパタリと収まった」と言っていました。

田崎:ただ、民主党の支持層も確実にいて、離党した議員のほとんどは、離党前より選挙情勢を悪くしています。その上、一部の離党議員の選挙区には民主党が“刺客”を立てているので、さらに票が割れてしまっています。

森田:たしかに、民主党の支持団体である連合の支援を受けられないことは、離党組にとっては大きなマイナスでしょうね。

田崎:未来の党に関しては、小沢一郎さんが解散・総選挙の時期を読み違え、来年だと思っていたことも不振の原因でしょう。週刊朝日(11月9日号)のインタビューでは「首相が野田さんのままなら選挙の時期は遅くなるかもしれない。いま必死になって、ごまかしながら、なんとか延ばそうとしている」と話していました。そのために選挙準備が遅れ、公示日に比例名簿の順位を変更するなど、ドタバタぶりが目立ってしまいました。

週刊朝日 2012年12月21日号