10月25日、東京都知事だった石原慎太郎氏が、近く新党を結成し、次期衆院選に出馬すると宣言した。ジャーナリストの田原総一朗氏は「石原新党」が「日本維新の会」と連携するのではないかと推測する。
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石原氏には200万票以上を集める集票力がある。新党には、当然ながら現職議員も含めて二ケタの人間は参加するだろう。問題は、石原氏が橋下徹大阪市長率いる「日本維新の会」と連携するか否かだ。
はっきり言って、維新の会に対する国民の関心は落ちている。「この国を変える」という橋下市長の本気度は変わらないが、「変える」ための行動が目に見えないと、存在感は薄らぐものだ。石原氏も記者会見で「橋下さんとは政策のすり合わせもずいぶんしてきた」と語っており、私は双方に連携の意思ありと捉えている。
だが、メディアには両者の連携を疑う声が多い。橋下市長側が乗らないと見ているのだ。
一つには、維新の会が「みんなの党」と組む姿勢を強めていること。さらに、石原氏とは政策に違いがあることだ。原発問題、TPP、それに橋下市長が「憲法改正」を主張しているのに対し、石原氏は「現行憲法は破棄する」と言明している。
しかし、「憲法破棄」というのは石原氏の趣味的な表現であり、「改正」には違いない。原発に賛成か反対かも、そう大きな違いではない。
それに、橋下市長は10月21日に、極秘に上京して石原氏に会ったとの情報もある。第三極作りではなく、政界再編を敢行するつもりだ。80歳の石原氏が、第三極作りなどに、いまさら意欲を示すはずがないからだ。
※週刊朝日 2012年11月9日号