「世界一わかる恋愛マーケティング」と題し、東京・丸の内で開かれた無料セミナーに参加するのは「彼女がいない」のが不思議なぐらい、バリッとした外見のビジネスマン。だが、個々に事情を聴くと、男性ならではの恋愛、結婚への葛藤があった。
参加者のなかに、「経済情勢」と「恋愛と結婚の原動力」の因果関係を挙げる人がいた。
「先輩に誘われ、合コンだと思って顔を出したら、恋愛講座だったのです」
そう言って笑うのは、背筋がまっすぐ伸び、快活なスポーツマンタイプの金融機関勤務の男性(42)だ。「ぎりぎりバブル世代」。かつてはひと目で「恋愛対象になる女性」を見分け、胸が高鳴った。性的な衝動こそ、恋愛の原動力だった。
30代で恋した女性は、小顔で腰の位置が高く、スタイルの良さが目を引いた。年配者にもやさしいので、「両親を大切にしてくれそう」と結婚も意識した。結局彼女に好きな人ができ、別れてしまった。
ところが、あるときから女性という「刺激」に反応が鈍くなった。好みのタイプが電車に乗っていても、テンションが上がらない。思えばリーマン・ショックのあたりからだ。顧客から資金を預かり、資産を運用している。毎朝5時に起き、誰よりもはやく職場に着く。年収は1千万円を超えるが、不安定な市場をにらみながら、この先の心配はぬぐえない。
最近、弟夫婦に子どもができた。正月や盆に帰省するたび、肩身が狭い。独り身の自分に、家族が気を使うのがわかる。
「少子化と責められるけど、この不安定なご時世を何とかしてほしい」
※AERA 2012年9月24日号