ターニ戦では柔道技で投げ、激しい打ち合いを展開するも判定負け。3年7カ月実戦から離れたブランクは大きく、試合で動ける=戦える体を作り切れなかったと振り返る。だがその経験を踏まえ、2月28日にシンガポールで待つ第2戦へは早めに準備を積んできた。

「やっぱり最終的に気持ちの面はすごく大切で、前回はその部分で不安というのが否めませんでした。でも、今回は間違いなく前回より動けてると思います。ただ、結果は悔しいですけど、前のことがあって今のこの体があるので、前の試合があればこそだし、いい試合に恵まれたと自分は思ってます」

 これまでがあったから今がある――秋山はインタビューの中で何度か繰り返した。

「悔しい時間をどれだけ持つかは人それぞれだと思います。1カ月ずっと悔しい思いをしてダラダラするのか、3日ぐらいで悔しい思いを終えて4日後にはスタートするのか。自分の場合も若い頃はしがみついてじゃないですけど、落ちて落ちてという風になっていました。でも、結局またやることは間違いないし、先が見えていることなので、そう考えたら1日、1秒でも早く気持ちを切り替えたもの勝ちだと思ってます。負けた時こそ問われると思うので、そこでできるだけ早くということを考えて動いてます。でも、若い時は知識も経験もないし、負けた負けたとグダグダやってしまってました。けど、そういうことがあっての今だと思ってます」

 また、父親の“何でも常に挑戦しろ”の教えとともに、秋山には日ごろから胸に抱く思いがある。

「やっぱり『井の中の蛙になってはいけない』ってみんな言いますけど、実際なかなか外には出られないですよね。でも、経験したことがないことだからこそ面白みがあって、だから常に緊張感を持って外へ出るっていうのが大切なので、僕はいつも“転校生になりたい”って思ってます」

 未知の領域へ恐れることなく飛び込む――それこそ秋山が話す“転校生”の意味するところなのだろう。ONE第2戦の相手はエジプトのパワーファイター、シェリフ・モハメド。だが2月28日の大会は新型コロナウイルスの影響を考慮し、無観客試合として行われることが決定した。

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「無観客」の中でどんな試合を見せてくれるのか?