7年間で計約1億2000万円の申告漏れを東京国税局から指摘されたことで活動を自粛していた「チュートリアル」の徳井義実の活動再開が24日に所属の吉本興業から発表された。
その8日前。16日の午後1時。新宿の吉本興業本社で徳井に話を聞いた。Yahoo!拙連載の取材のため、およそ1時間半、徳井と向き合った。
「僕のこんなことのために、わざわざ本当に申し訳ありません……」
徳井が大阪時代から約20年に渡り、幾度となく取材をしてきたが、こんなに力なく挨拶をされたのは初めてだった。
“よしもと男前ランキング”で殿堂入りするほど、芸人の中では圧倒的に“華”のパラーメーターがずば抜けている存在だった。しかし、スタッフ数人と連れ立って部屋に入ってきた時、恐らく0コンマ何秒のことだろうが、スタッフと同化して、徳井を認識するまでにほんの少し時間がかかった。
筆者のこれまでの印象では、たとえ周りに何十人いようが、一瞬で目がいくスター性にあふれてるのが徳井。それを瞬時に視認できなかったことに衝撃を受けた。
人前に出ていないことからの変化なのか、心労なのか、疲弊なのか、はたまた今から始まる取材への重圧なのか。メディアから遠ざかって4カ月ほどではあったが、既に年単位の時間が経ったのでは。そう思わせるくらい、年齢を重ねたようにも見えた。
逆に言うと、この4カ月が徳井にとっていかに大きく、長いものだったのかを如実に表してもいた。
取材を始めてすぐ、違和感を覚えた。筆者がこれまで取材してきたイメージよりも、ずっと、ずっと、口調がゆっくりだったからだ。ゆっくりというべきか、慎重というべきか。
「自粛中の生活パターンはどのような感じでした?」などと尋ねると、まず「う~ん、そうですねぇ……」というワードから回答を始め、一語一語を確認するように答えていた。
体感として「えらくゆっくりしゃべっているな」というのはその時からあったが、後に、取材を録音していたレコーダーを聞きながら、原稿のための文字起こしをしている時に、いつもとのしゃべるスピードの速さの違いを痛感した。
特に早口ではない取材対象でも、しゃべるスピードとこちらがパソコンで文字を打っていくスピードにはかなりの差があり、普通、しゃべるスピードの方がかなり速いので、何回も巻き戻しをしながら、少しずつ文字を起こしていく。
しかし、今回の徳井のインタビューは約90分の音源を文字起こしするのにかかった時間は約90分。要は、非常にゆっくりしゃべっているので、徳井のしゃべるペースに十分こちらの打つスピードが追い付き、ほぼ巻き戻しをしないまま文字起こしが完了していた。