こうして見ると、彼女たちには「守られたい」というよりむしろ「一緒に戦いたい」という意識が強いように思われる。女優はもともと「男っぽい」人が多いともいわれるが、格闘家好きの女優は人一倍、その傾向が顕著なのだろう。
とはいえ、女性が男性のように戦うには社会的にも体力的にも限界が存在する。そのもどかしさが、まさに戦うことを仕事にする男たちへの興味や愛、尊敬へとつながるのではないか。しかも、パートナーになれば共闘する喜びもさまざまなかたちで得られるのだ。
生き馬の目を抜く世界とまでいわれる芸能界。だからこそ、格闘家にハマる女優も次々と出て来る。そして、彼女たちならそこでもたくましく生きていけるに違いない。
●宝泉薫(ほうせん・かおる)/1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など。