日本では清貧こそ美徳という考えが根強く、人様の前でお金について話すなんてとんでもないという雰囲気があります。けれども、私はその考えは大間違いだと思いますね」(Dr.K、以下同)


 
 念願の医学部入学がかなった後も、Dr.Kはお金の大切さを感じることがしばしばだったという。

「周りがベンツで通学するなか、私は中古の軽。それも家庭教師のアルバイトをしてやっと手に入れたものでした。格差を痛感しつつ、節約に努め、アルバイト代をコツコツ貯金しました」
 
 そんなDr.Kが投資を始めるきっかけは、2008年の国際的な金融危機、いわゆる「リーマン・ショック」だった。

「後期研修1年目のときの指導医が、投資家としても実績を上げている人でした。その指導医からリーマン・ショック後の株式市場について『1万円の入った財布が千円で売られている状態だ』と言われ、投資を始めたのです。当時の日経平均は8000円で、今振り返ると、指導医の言葉どおり底値だったわけで、投資を始めるには有利でしたね」

■投資を始める前に、チェックすべきこと

 現在の運用額は5億円を超えるというDr.Kだが、元手は600万円でのスタートだった。

「600万円は、医学部生時代のアルバイト代に加え、研修医の給与を貯金したもの。研修医2年目から手取りが30万円ほどになり、しかも当時は寮住まいでお金を使うことがなかったので、自然とたまりました。
 
 私の経験から言えるのは、投資を始めるなら若ければ若いほど良いということ。医師をリタイア後に投資の勉強を始めても、脳がついていきません。また、若いうちに投資を始めることは、早い段階からライフプランを考えることにもつながります。医師のマネープランは、人生観と表裏一体です。医師としてどのような道を歩みたいかを念頭において、投資をするべきなのです」

『医者と医学部がわかる2020』で実施した「先輩医師528人アンケート」によると、「現在の貯金額は?」という問いに対して、「貯金なし」が6%、「1億円以上」が7%となっている。

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