首都圏に本格的な寒気が訪れるなど、すっかり冬の気配が色濃くなってきた日本列島。でも、秋の名残りもまだそこここに。今回は初冬の紅葉車窓が期待できる3路線をピックアップしてみた。
【幻想的なエメラルドグリーンの球磨川を渡るJR肥薩線。写真はこちら!】
■四国山地の秘境を貫く渓谷路線「土讃線」
土讃(どさん)線はその名のとおり讃岐と土佐とを結ぶ幹線で、瀬戸内海に面する多度津(たどつ)を起点に四国山地を横断、太平洋側の高知を経て窪川に至る全長198.7キロメートルの非電化路線である。
特急「南風」が瀬戸大橋を経由し沿線と岡山とを結ぶほか、高松や土佐くろしお鉄道の中村や宿毛(すくも)などをつなぐ都市間連絡特急が行き交う特急街道でもあり、高知や祖谷渓、琴平などへの観光利用も多い。
一方、琴平以南の沿線には高知市を除くと大きな都市はなく、四国山地越えとなる琴平~土佐山田間では普通列車の本数が激減。讃岐財田(さぬきさいだ)~土佐山田間は80キロに及ぶ山岳区間となり、吉野川水系の狭隘(きょうあい)渓谷に沿いながらのスリリングな道行きとなる。
山岳区間の多くで季節ごとの絶景が期待できるが、とりわけ大歩危・小歩危(おおぼけ・こぼけ)の紅葉は見事。吉野川の激流がつくりあげた険谷にカエデやウルシなどが色づき、車窓を楽しませてくれるだろう。大歩危駅で途中下車して遊覧船を楽しむのもいい。大歩危・小歩危の紅葉は例年11月下旬ごろがピークとなる。
また、駅周辺に人家や道路すらないスイッチバック駅の坪尻や吉野川との出合いに開けた街・阿波池田などもおすすめの途中下車ポイント。下り列車でスイッチバック駅の新改を過ぎると前方に高知平野の展望が開ける。長い山越えの最後に訪れるハイライトはぜひチェックしたい。
■球磨川沿いの紅葉と山岳越えの絶景「肥薩線」
九州山地南部を縦断する肥薩線もおすすめしたい紅葉路線だ。
肥薩線不知火(しらぬい)海に面する八代と錦江(きんこう)湾側の隼人とを結ぶ124.2キロの非電化路線で、変化に富む車窓美でもピカイチの路線といえるだろう。