どの席からも伊予灘が見えやすいように工夫が凝らされているだけでなく、田園風景や雄大な肱川(ひじかわ)などのビューポイントもあり、車窓は変化に富んでいます。
「大洲(おおず)編」「双海(ふたみ)編」「八幡浜(やわたはま)編」「道後(どうご)編」による1日4便の運行で、それぞれ、地元の食材が使われた季節の食事を楽しむことができます。
私が乗車した「双海編」では、内子杉でできた特製御重に、彩り豊かな和洋折衷料理が詰め込まれており、ふたを開けた瞬間からワクワクさせられる料理でした。
「内子豚野菜巻揚げ」など、地元の食材をふんだんに使用した料理を内子杉の御重で食べる、まさに内子ずくめのお料理が楽しめました。
お気に入りポイントは、おいしい食事だけではなく地元住民の皆さんやアテンダントによる心温まるおもてなしです。
まずは、タヌキ駅長がいる駅として有名になった五郎駅。本物のタヌキには出会えませんでしたが、タヌキの仮装をした地元の方々がお出迎えをしてくれました。驚くことに、列車の運行に合わせてこのお出迎えを毎回されているとのこと。かわいい「子ダヌキ」のお出迎えに思わず顔がほころんでしまいます。
また、車窓を眺めていると大漁旗を振っている地元住民の方が現れたり、野球少年が練習中にもかかわらずみんなで手を振ってくれたりと、列車がどこを走っていても常に誰かが手を振っているのには、驚きました。地元の方々の列車に対する思いがひしひしと伝わってきます。
アテンダントさんの細やかなサービスもすばらしかったです。映画やドラマのロケ地として有名な下灘(しもなだ)駅では、10分停車するので駅周辺を探索できるのですが、車内へ戻ると飲みかけだったコーヒーにラップがかけてあったのです……! このさりげないおもてなしに感動しました。
■都内から気軽にレストラントレインへ! 「52席の至福」
最後にご紹介するのは、西武鉄道が運行する列車、「西武 旅するレストラン52席の至福」。基本的に西武秩父と池袋、または西武新宿間で運行されています。