首都圏の大手私鉄で唯一東京に直結していなかった相模鉄道(本社・横浜市西区)と、JR東日本との「相互直通運転」が11月30日からスタートする。すでに相互乗り入れに向けた試運転も行われ、相鉄沿線住民の期待は高まるばかり。本拠の横浜駅を経由せず、渋谷、新宿といった都心に直接乗り入れる新ルートの影響は? 開業前におさらいしてみよう。
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■これまでになかった新ルート列車が登場
今回開業する直通ルートは、相鉄本線とJR東海道貨物線とを連絡線で直結、横須賀線などを経て相鉄沿線と都心とを結ぶ。相鉄本線の西谷駅からJR東海道貨物線の横浜羽沢駅付近に至る、およそ2.7キロメートルの連絡線を相模鉄道が主体となって新設、連絡新線は相鉄新横浜線と名付けられ、途中に新駅・羽沢横浜国大駅が設置される。なお、新線の大半は地下式で建設されている。
開業後は、相模鉄道とJR東日本との間で相互直通運転が実施される予定で、海老名~新宿間をメインに、朝の通勤時間帯には大宮方面への直通列車も設定される。
相模鉄道内の列車種別は「特急」と「各停」を設定。JR線内は各列車ともに武蔵小杉、西大井、大崎、恵比寿、渋谷、新宿に停車する。運行本数は46往復と両社からアナウンスされており、通勤ラッシュのピークの時間帯には毎時4本程度、そのほかの時間帯には毎時2~3本が運行される。
2社共同のプレスリーリースによれば、新ルート開業により、二俣川~新宿間で44分、大和~渋谷間が45分、海老名~武蔵小杉間は36分となる見込み。現在の横浜駅乗り換えと比較して、おおむね10~15分前後の時間短縮が期待できるのは大きい。同時に、巨大ターミナルである横浜駅での乗り換えが不要となる点も、所要時間短縮と同様に利便性向上のアピールポイントといえるだろう。
ただ、相互乗り入れによる利便性向上が期待される一方で、異常発生時のダイヤ乱れなどで直通先に影響が出る可能性もある。新ルート開業に伴う新ダイヤは今後の発表となるが、こうした対応への備えが十分にできているかといった点も注目したいところ。