「小児性愛は治療が非常に難しいです。男性の場合で考えると、例えば胸の大きな女性が好きだとか、お尻がふくよかな女性が好きだとか性的な好みは人それぞれです。『性的興味の対象を変えろ』と言われてもなかなか簡単にはできません。ですから、性衝動を抑える道筋を探ったり、自慰行為で性衝動をまぎらわせたりして、性行為に至らせないように誘導していくしかありません」
『ルポ 平成ネット犯罪』(ちくま新書)の著書があるジャーナリストの渋井哲也さんは「他の障害の可能性」も指摘する。
「報道だけでは症状はわかりませんが、小児性愛のほかにセックス依存症や支配欲の強い人格障害の可能性もあります。セックスによって相手を支配すると同時に強い満足感を感じ、性的な衝動が抑えられなくなる。大人の異性との交際がうまくいかなかったことで、支配しやすい子どもを相手に選ぶ人もいます」
成人との性行為の経験も治療に深く関わってくるという。
「過去に成人との関係があったのであれば、凝り固まった考えを社会常識に合わせるために『認知行動療法』を行って矯正できる可能性があります。しかし、小児性愛への依存度が高いと、そもそも成人との関係で成功体験がないため矯正が難しい。その場合は、治療後も家族や知人、あるいは警察などと協力しながら子どもと出会うことのできる場所や連絡のとれるゲームの使用を禁止するなど、行動制限をかける必要があります」(渋井さん)