7月21日投開票の参院選が終盤に入った。各党の幹部議員は、激戦区を中心に全国を飛び回ってラストスパートに懸命だ。
そのなかで、街頭演説で黒山の人だかりをつくっているのが、れいわ新選組の山本太郎代表だ。デフレ脱却のための「消費税廃止」を政策の中心に据え、参院選を足がかりに「政権を取りに行く」と訴える。
ただ、4月に設立されたばかりのれいわ新選組は国会議員5人以上などの政党要件を満たしていないため、テレビや新聞への露出は限られている。にもかかわらず、SNSを中心にインターネット上では、れいわに関する投稿や動画であふれている。
なかでも注目されているのが、山本氏の政見放送だ。ツイッター上では「はじめて政見放送で泣きました」「全ての政見放送をみて唯一心に響いた」などの投稿が相次ぐ。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』の著書があるノンフィクションライターの畠山理仁氏は、こう話す。
「れいわは政党要件を満たしていない『確認団体』なので、テレビ出演や討論会に出ることができませんが、政見放送は“動く候補者”が放送されます。政党要件を満たさない政治団体にとって広告効果が高く、力を入れる候補者は多い」
確認団体の政見放送では「NHKから国民を守る党」(N国)も話題を集めている。同党の立花孝志代表の動画は、“笑える”政見放送としてYouTubeで270万回を超える再生回数となっている(19日現在、以下同じ)。
一方で、有権者に向けて一人で日本の課題と政策を語りかける山本氏の政見放送も約84万回の再生回数を記録。安倍晋三首相が出演した自民党の約13万回や、立憲民主党の枝野幸男代表の約2万回を上回っている。
7月9日には、山本氏と、安倍首相と三原じゅん子参院議員による自民党の政見放送を比較した動画がツイッターで投稿された。こちらの再生回数は130万回超、2万回以上シェアされた。
動画の冒頭は、山本氏の訴えから始まる。
「現在の日本、子どもの貧困、約7人に1人。高齢者の貧困、5人に1人。一人暮らしの女性貧困、3人に1人。このままでは、この国に生きる人々は持ちません」