「公職選挙法では、現金や物を渡したり、受け取ったりするだけではなく、事前に受け渡しを約束することも寄付行為として禁止されています。また、自民党はすでに今夏の参院選で全国比例で出馬する候補者を発表しています。同法では、候補者の氏名が類推されるような方法での寄付は禁じられており、今回のプレゼント企画は同法に抵触している可能性があります」

 一方で、同法では候補者による寄付については細かく禁止規定があるが、政党による寄付については定義があいまいだ。総務省に問い合わせたところ「後ほど回答します」とのことで、現在でも正式な見解は示されていない。今回の広告記事を出稿した「自民党プロジェクト2019」の事務局担当者は「法律上は、党内で問題ないと判断してプロジェクトを進めています」と、違法なことはしていないとの認識を示している。

 ただ、「ViVi」という有名女性雑誌が、人気モデルと協力して制作した限定Tシャツとなると、プレミア価格がつくのは必至。当選した場合、高額で転売される可能性もある。この点について上脇教授は、「プレゼント企画が仮に法律違反ではなくても問題がある」と指摘する。

「自民党は178億円の政党交付金を得ています。その原資は国民の税金であることを考えると、今回のTシャツの制作費にも税金が事実上使われていることになります。法律で明確に禁止されていないことに乗じて税金を使ってプレゼント企画をすることは、たとえ違法ではなくても、政治的・道義的に問題があります」

 もし、今回の企画が「合法」と判断された場合、どうなるのか。政党は選挙のたびに有名タレントを雇ってプレゼント企画をする必要が出てくる。選挙費用が激増すれば、大きな政党が選挙戦で有利になる。選挙資金で不利になる野党議員は「どう考えてもアウト」とバッサリだ。

 Tシャツプレゼントだけではなく、人気モデルが自民党とコラボ企画をしたことでも炎上も止まらない。

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