「大手商社だと、決済に時間がかかったり、現場サイドで話がまとまっても、社内でひっくり返されたり、というのがよくあるんですよ。でも僕の場合は話が早い。扱う量は少ないですが、『イエス』と言えば、必ず取引きが成立します。うまくいくと、だんだん扱い量を増やしていくので、向こうからしても安心なんでしょうね」

 ネットで世界中とつながり、小規模の会社でもグローバルビジネスができる時代。追い風は山本さんに吹いている。

 さらに生産者の懐に飛び込んで仲良くなる山本さんのやり方が、ニュージーランドの農家の間で“山本ファン”を増やしていった。ニュージーランドの政府機関からは「農産物のビジネスの話はミスター山本を通してくれ」とお墨付きをもらうほどになったという。

「まずは現地に行って仲良くなって、信頼関係を築いてから合意を取り付ける。あの“エッグタルト方式”ですよ。僕のアプローチは常に臆さずダイレクト。そうすれば100%うまくいきます」

 気がつけば、自社のビジネスだけでなく、政府系支援機関の海外進出支援専門家や各地の自治体での海外進出サポーター、香港貿易発展局のアドバイザーを依頼されるなど、日本と世界を結ぶコーディネーターとして頼りにされる存在になっている。

●面白いことはハッピーにつながる。仕事も仲間と楽しくやろう

 社長と芸人、ふたつの顔を持つ山本さんには今後の夢についてこう語る。

「日本には農産物でも工業製品でも、世界に誇れる素晴らしい商品がたくさんあります。でも国内の消費だけでは限界が来る。ゆくゆくは海外に行かざるを得ないときに、自分で楽しくアプローチできる方法をたくさんの方々に知っていただきたい。そして日本と海外との取引きをもっと増やしていきたいですね」

 多忙な毎日をぬって、芸人の仕事も続ける山本さんは、最後に笑顔でこう締めくくった。

「僕が伝えたいのは、面白いことをやると、みんな楽しくてハッピーになるということ。だから仕事もプライベートも面白くやって、その楽しさをみんなで分かち合いたい。人生、山あり、谷ありのジェットコースター。でもそれが面白いんやないですか」