『五右衛門ロック』、この号が発売される頃には東京公演を終え、大阪公演の準備に入っているはずです。

今回、ほんとにお客さんが盛り上がってくれて、僕が目撃した時は、ほぼ毎回スタンディングオベーションです。

物語のラストシーンは、過去さんざんやったよというパターン、新感線に限らず、ある種の大団円を描く時の典型的なパターンです。そのお約束のあとに、メインテーマである「五右衛門ロック」を歌いながらカーテンコールになだれ込む。生バンドの力もとても大きいと思うのですが、このお約束感が心地よいのでしょうね。芝居と言うよりはむしろコンサートのラストです。なので、スタンディングオベーションにも行きやすいのかなとも思います。

芝居が終わって晴れ晴れとした顔で劇場をあとにするお客さんの顔を見ていると、こちらも嬉しくなってしまいます。実はこういう感覚は久しぶりなのです。

ここのところ、自分が新感線で書く作品は、もう少し渋めになって悲劇性が強くなってるんですね。カタルシスはそれなりに考えてるんですが、スカッと爽やか、あー面白かったというわけにはいかない作風だったのです。

でも今回久しぶりの王道新感線をやってみたら、自分達が想像していた以上にお客さんも喜んだだけでなく、僕自身も面白かった。さんざんやったパターンだと思っていたけど、キャスト・スタッフを含めた全体のグレードが上がっていたのですね。そこに新たな発見があった。

こういう舞台が作れる集団もちょっと他にないぞと改めて思えたことは、自分にとってもいい刺激になりました。この歳になっても作品が教えてくれる事がある。芝居はやっぱり奥深いです。

さて、AERA本誌での連載は今回で一区切り。今後はアエラネットでの連載になります。よろしければ、WEBのほうも覗いてみて下さい。

一年間のおつきあい有り難うございました。