18連敗を喫して、肩を落として引き揚げるロッテ・近藤監督(当時) (c)朝日新聞社
18連敗を喫して、肩を落として引き揚げるロッテ・近藤監督(当時) (c)朝日新聞社
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 各チームがキャンプ入りし、早くも新シーズンが待ちきれないというファンも多いと思うが、懐かしいプロ野球のニュースも求める方も少なくない。こうした要望にお応えすべく、「プロ野球B級ニュース事件簿」シリーズ(日刊スポーツ出版)の著者であるライターの久保田龍雄氏に、80~90年代の“B級ニュース”を振り返ってもらった。今回は「長いトンネルでした編」だ。

 1992年にオリックスに入団したトーベは、1年目こそリーグ2位の打率3割5厘をマークしたが、翌93年は一転絶不調。

 8月7日のロッテ戦(千葉マリン)の第2打席でヒットを打ったのを最後にバットから快音が聞かれなくなり、10月2日の日本ハム戦(グリーンスタジアム神戸)で、ついに53打席連続無安打となった。

 連続無安打記録は、63年から64年にかけた東映の投手・嵯峨健四郎が記録した90打席が日本記録だが、打者の記録となると、59年に西鉄・河合保彦が記録した52打席がこれまでのワーストだったことから。トーベは河合の記録を塗り替えてしまった。

 主砲・ブーマーの後釜に獲得した助っ人がこれではシャレにならない。大忠義打撃コーチも「もう全然ダメ」とサジを投げるほどだったが、ワースト記録をつくって開き直ったのか、トーベは5回にタイムリーを放ち、ようやく長いトンネルを脱出した。

 その後、残り6試合に出場したトーベは18打数6安打3打点1本塁打と復調したが、シーズン打率2割3分2厘ではお話にならず、同年限りで解雇された。

 昨年7月10日、ロッテ・岡田幸文が西武戦(メットライフドーム)で足掛け3年がかりの54打席連続無安打を記録し、トーベを抜いた。

 ノーヒットノーラン2試合分にあたる18イニング連続無安打のプロ野球ワースト記録をつくったのが、1995年の西武。

 リーグ6連覇を狙う西武は同年6月25日の時点で首位・オリックスに1ゲーム差の2位、36勝20敗2分と好位置をキープしていたが、主砲・清原和博を右肩脱臼で欠いた同27日のロッテ戦(福井)から元気なくズルズル7連敗。7月4日の日本ハム戦(東京ドーム)では、グロスから初回に1安打を記録しただけの打者27人の凖完全試合で0対4と完敗し、 東尾修監督を「27人?恥ずかしいな」と嘆かせた。

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シーズン中に前代未聞のお祓い