【FW】
1位:ジョー(名古屋グランパス)
24得点。文句なしの得点王だ。ガブリエル・シャビエルとのホットラインなどからペナルティエリアでボールを受ければ“無双”の決定力でゴールを積み重ねた。長身に加え、体を伸ばした状態からでも的確にゴールを狙えるボディバランスと技術は“ジョーが戦術”と言えるほど。またゴール前のワンタッチプレーヤーとしての仕事だけでなく、高めの位置でディフェンスを背負っても2列目の選手に正確にボールを落とし、そこからのチャンスにつなげるなど、前線の基準点としても見事だった。名古屋はギリギリの残留ではあったが、昇格シーズンの難しさもある中でジョーに助けられた部分が大きい。
2位:ファン・ウィジョ(ガンバ大阪)
ガンバが前任者のもとで低調だった前半戦からゴールを重ね、途中アジア大会で抜けたものの、韓国代表を優勝に導いて復帰すると、再び驚異的な得点力を発揮した。ゴール前の迫力はJリーグでなかなかないもので、味方がスペースに出せば、そこにファン・ウィジョが飛び込んで合わせるという形はどの相手にとっても危険だったはず。ゴール前で無類の勝負強さを発揮する一方で、ワイドに流れた時も小野瀬康介とクロスオーバーしながら、縦の突破からのリターンで小野瀬や渡邉千真、倉田秋らのフィニッシュを導くなどチャンスメークでも輝いた。
3位:鈴木優磨(鹿島アントラーズ)
11得点という結果は本人も納得いっていないはずだが、10アシストという数字にも表れるゴールの演出力と日本人選手では稀有なディフェンスを背負って捌けるポストプレー、レオ・シルバや土居聖真、セルジーニョなど周囲に決定的なスペースを提供するバイタルエリアのポジショニング、精力的なチェイシングなど、多岐に渡るタスクをこなしながらの結果であり、勝利の貢献度も極めて高かった。細かい怪我もあったが、国内外の過密日程をフルに戦い抜いたタフネスも驚異的だ。20得点のパトリックをはじめ小林悠、興梠慎三も甲乙つけがたい活躍だったことを付記しておく。(文・河治良幸)
●プロフィール
河治良幸
サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書は『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)、『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)など。Jリーグから欧州リーグ、代表戦まで、プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHKスペシャル『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の“天才能”」に監修として参加。8月21日に『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)を刊行。