浅村も今年は本塁打、打点でキャリアハイを更新し、自身二度目となる打点王に輝いたように打撃面は丸と同様に充実期を迎えている。その一方で、セカンドの守備は年々守備範囲が狭くなっており、チーム事情からやむなく守っているという感は否めない。ハンドリングは悪くないものの、狭い守備範囲の中で二塁手としてはリーグワーストの12失策という数字も気になる。西武のように打ち勝てるのであれば大きな問題にはならないが、守備を重視するチームに移籍することになると、その守備力が問題視されるケースも大いに考えられるだろう。

 西は過去8年間で5度の二桁勝利と通算74勝65敗、防御率3.30というのは立派だが、過去3年間に限るといずれも負け越している。またリリーフ陣が充実していたというチーム事情もあるが、今年はローテーションに定着して以来初の完投0に終わったというのも少し気がかりだ。ストレートの勢い、必殺のキレを誇るスライダーも健在で大きく成績が落ちているわけではないが、逆に大きな成長が見られていないとも言える。以上のことからも過度な期待をかけるのは危険ではないだろうか。

 ここ数年のプレーぶりから考えると丸と浅村の二人については大きく成績を落とすことは考えづらく、環境が変わっても中軸としての働きは期待できるだろう。しかしそれを長期間続けられるかということになると、過去の例から見ても決して太鼓判を押せるものではない。そのようなリスクをとる球団がどこまで出てくるのか、また選手本人が果たしてどのような決断をするのか。今後の動向に注目したい。

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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