他にも、顔認証機能を搭載したことで、3D CGを個人で動かすことも簡単になる。どういうことかというと、今のところ3D CGは人間の身体にセンサーを付けて動かすのが主流だが、これをカメラによる画像認証によっても可能にしようとする研究が進んでいる。
現に、iOS向けアプリ「REALITY Avatar」のように、iPhoneの顔認証機能を用いて、スマホ1つで誰でも3D CGを動かすことができ、動画配信をすることで誰でもVチューバー(バーチャル・ユーチューバー)になれるアプリが既に登場しはじめている。
今のところは顔の動きのみにしか対応していないが、画像認証のソフト技術が今後進み、新型iPad Proのような高いハード性能が組み合わされば、カメラの前で全身を動かすだけで、3D CGのキャラクターがそのまま同じ動きをする日も遠くないといわれている。近い将来、3D CGクリエイターにとってiPad Proが必携となる日が訪れるかもしれない。
スマートフォンの動向などを研究する、MMD研究所の森路子研究員もこう解説する。
「USB Type-Cを採用し、さらにキーボードやペンシルも備え、大容量にもなった新しいiPad Proは、非常に拡張性が高いです。当研究所の調査では、一般消費者は大容量かどうかやペンシルの有無にはあまり関心がなく、購買意欲は上がらないという統計が出ています。にもかかわらず、こうした部分を強化してきたということは、デザイナーやカメラマンをはじめとしたクリエイター向けに舵を切ったのだと考えられます」
iPadの登場から8年あまり、今やタブレット端末は珍しいものではなくなった。一方で、アップル製品の歴史を紐解いて見れば、元々はクリエイター向けのものが主だった。新しいiPad Proも、こうした“原点”に今一度立ち返ったと言える。
「スマホが普及したことで、若年層のパソコン離れも進んでいます。プロユース向け、というのが第一ですが、こうした若手クリエイターを取り込む狙いもあるかもしれません」(森研究員)
なるほど、新型iPad Proは、クリエイターからパソコンを手放させるデバイスになる可能性も秘めている。(河嶌太郎)
詳細なモデルと税抜き価格は次の通り
●11インチ Wi-Fiモデル
64GB:8万9800円
256GB:10万6800円
512GB:12万8800円
1TB:17万2800円
●11インチ Wi-Fi+Cellularモデル
64GB:10万6800円
256GB:12万3800円
512GB:14万5800円
1TB:18万9800円
●12.9インチ Wi-Fiモデル
64GB:11万1800円
256GB:12万8800円
512GB:15万0800円
1TB:19万4800円
●12.9インチ Wi-Fi+Cellularモデル
64GB:12万8800円
256GB:14万5800円
512GB:16万7800円
1TB:21万1800円