韓国で俳優デビュー、2016年に帰国し、今は日本の芸能界で活躍する大谷亮平さん。「AERA English 2018 Autumn & Winter」の取材で語った、外国語を学ぶコツとは。
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2003年、韓国でダンキンドーナツのCMに起用され、一躍、現地で人気者となった大谷亮平さん。そのCM がきっかけで韓国の芸能事務所から声をかけられ、04 年に渡韓。06 年に俳優としてデビューした。
「事務所の人はみんな日本語を話せたので、韓国で暮らすことに心配はありませんでした」
当時、まったく韓国語が話せなかった大谷さんは、最初の6カ月は午前中に語学学校に通い、そのうち3カ月はマンツーマンのレッスンも受けた。
「学校では10人くらいの生徒が、順番に質問に答えていくんですが、僕は質問されても、『全然わかんねー!』状態でした。生徒は大学生が中心で、年齢的にもクラスで浮いていたので、学校に行くのが嫌で仕方がなかった」
思うように上達せず、「自分には向いていない」と友人に相談すると、「6カ月勉強を続ければ何とかなる」と言われた。半年がたつと、その言葉通りに韓国語が少しずつ耳に入ってくるようになった。事務所の仲間と外出する機会も増え、そこでの人との出会いが語学学習に役立ったという。
「人と出会うと、伝えたい、理解したいという気持ちになる。そうした必要性に迫られて、吸収が早くなっていきました」
机に向かって学ぶよりも、韓国語の環境にどっぷり漬かることが上達への近道になった。韓国に渡って2年がたつころには流ちょうに話せるようになり、アドリブが要求されるバラエティー番組に出演するまでに上達した。
■外国語のセリフに感情を込める難しさ
一方、俳優としては外国語で演じる難しさに直面した。正確な発音だけではなく、感情を込めないといけないからだ。
「そもそも外国人の役って、韓国ではそんなにないんです。だから、どんな役でもいただいたら必死でやっていました」
そうした努力が実り、14年には韓国ドラマアワードで、グローバル俳優賞を受賞。16年、日本の芸能事務所から誘いがあり、帰国した。
「先日、マツコ・デラックスさんから、『あなたは何かが違う』と言われました。もしかしたら海外で長く仕事をしてきたことが、オリジナリティーになっているのかもしれません。そうした個性を生かして、どんな役をやるときも、存在感が光る役者でいたい。これまで、あまり手を付けていない英語も、これから勉強したいと思っています」
◯大谷亮平(おおたに・りょうへい)
1980年大阪府生まれ。2004年に韓国に渡り、06年にドラマ「ソウルメイト」で俳優デビュー。16年から日本で活動。NHK 連続テレビ小説「まんぷく」に出演中。出演ドラマ「結婚相手は抽選で」は、10月6日スタート。趣味はバレーボール。
(文/仲宇佐ゆり)