難関大合格率トップ10に食い込んだ公立校とは?ランキングでみる「真の実力校」

週刊朝日

東京大学 (c)朝日新聞社

 2020年の大学入試の「真の実力校」はどの高校か。学校の規模に左右されない実績を探るべく、東大・京大をはじめとする旧帝大、一橋大、東工大、神戸大の難関10大学への「合格率」を分析した。今年のトップ10は、毎年常連の私立中高一貫校に、公立の伝統校が割って入る結果となった。

【東大、京大、旧帝大など難関国立大の合格率トップ10のランキング表はこちら】

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 合格率は、旧帝大の東大、京大、北海道大、東北大、名古屋大、大阪大、九州大の7大学に、一橋大、東工大、神戸大を加えた10大学の合計合格者数(推薦・AOの合格者、浪人なども含む)を、各高校の卒業生数で割って算出している。合格者数ではなく割合で比較することで、学校の規模に左右されない“実績”が見えてくる。

 表は、難関10大学の合格率の高いトップ50校のランキング(*注)。今年も、上位には常連校が並ぶ。顔ぶれはおなじみだが、その中で順位の入れ替えがあった。

 トップ3はいずれも関西の中高一貫の私立男子校。1位は灘(兵庫)で、東大79人、京大49人と6割近くが東西の最高学府に合格し、10大学の合格率は78・2%に上った。特に東大理三に14人、京大医学部医学科に24人と、医学部合格の強さで他を圧倒している。

 2位は東大寺学園(奈良)。東大に36人、京大に60人が合格。実は京大合格者数はゆるやかな減少傾向にあり、逆に東大合格者数が伸びている。このような「東大シフト」の動きは、一部の関西私立高で近年みられる傾向だ。3位の甲陽学院(兵庫)もトップ3常連の実力校の一つ。2位との差はわずかだった。

 一方、昨年1位だった筑波大附駒場(東京)は、今年は5位。8年ぶりに東大合格者数が3ケタを割り、5位となった。

 大学通信の安田賢治常務はこう分析する。

「今年の東大の2次試験は英語が難しく、英語が得意な女子に有利に働いたのかもしれません。トップの男子校では、英語は本人任せというところもあると聞きます」

 筑駒だけでなく、大阪星光学院(大阪)や麻布(東京、合格率31・8%)も今年は順位を落としている。


 逆に、安田さんが「英語を通したグローバル教育に力を入れている」と評する40位の海城(東京)は、東大が昨年より13人増え、5年ぶりに50人を超えた。

 昨年のトップ5は、中高一貫の男子校で占められていたが、今年は公立校の北野(大阪)がそこに割って入った。合格率61・1%で4位。特に、京大合格者数は前年比28人増で3ケタに到達し、3年連続でナンバーワンに輝いた。阪大53人、神戸大36人など、関西で存在感を示している。

「背景にあるのは大阪府立高校の復権です。2011年からの教育改革の成果といえるでしょう」

 と安田さんは説明する。そのもう一つの好例が、9位にランクインした天王寺(大阪)だ。京大は、北野に次ぐ合格者数で、前年比29人増の76人。

「この2校が京大合格者数でワン、ツーに輝くのは約40年ぶり。府の教育改革で文理学科を設置し、優秀な子は、北なら北野へ、南なら天王寺へ集中するようになりました」(安田さん)

 もう一校、注目すべきは7位の札幌南(北海道)。計169人の合格者のうち、地元北大は約半分の90人。東大と京大に計31人合格したほか、東北大15人、阪大10人、最も離れた九大にも7人など、旧帝大への合格で実績を残した。

 結果として、公立校が3校トップ10入りした。

■公立伝統校から地元の旧帝大に

 今年は混戦状態だったのが、学区が二つに分かれる愛知県だ。27位の一宮は、東大、京大の合格者数では西のトップ校とされる旭丘、明和、東の岡崎の3校に劣るが、名大の合格者数が急増している。昨年までの3年間は70人前後だったが、今年は前年比27人増の95人が合格。特に現役の人数が多く、うち69人となっている。

「今年は現役の受験者が少なめでしたが、合格者は多かった。名古屋大の倍率が低かったこともあると思いますが、日ごろから可能性を狭めず、第1志望を貫くよう指導しています」(進路指導担当者)

 合格率を伸ばした高校で注目すべきは、22位の奈良(奈良)だ。京大に前年比22人増の53人、神戸大も20人増の53人となり、合格率は、昨年の34・7%から10ポイントもアップした。進路担当教諭はこう説明する。

 「一昨年の夏から京大見学を実施。今年の現役生は初めて参加した学年です。OB、OGの京大生から話を直接聞いたことで、志望者が増えたのではないかと思います。また、今年の現役は例年よりもSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の生徒が多く、勉強に対する意欲も高かったです」

 ほかにも、北大115人合格の札幌北(12位、北海道)、東北大96人の仙台第二(21位、宮城)、九大126人の修猷館(29位、福岡)など公立の伝統校には地元志向が見られた。

「地方は公立校から地元の旧帝大に進学という流れが昔からあります。文系であれば、地元での就職や地方公務員を目指すなら、地元の旧帝大が有利でしょう。今は近くで暮らしてほしいと願う親も多いと聞きます」(安田さん)

 現在、新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るっているが、難関大を目指す受験生にとっては、4月は志望決定の大切な時期。予防に努め、この一年のスタートを切ろう。

(本誌・緒方 麦)

*表の見方
東大と京大の合格者総数に難関国立8大学合格者数の合計を加えた合格率の高い50校を表にした。難関国立8大学は、北海道大、東北大、名古屋大、大阪大、九州大、一橋大、東京工業大、神戸大。合格者数は、合格実績のある学校への本誌とサンデー毎日、大学通信の合同調査(3月30日現在判明分)。推薦・AOなどの合格者を含んでいる。合格率(%)は、合格者数を卒業生数で割った数字。通信制・定時制を併設している学校は、それらを除く全日制の卒業生で算出した。同率で順位が異なるのは小数点第2位以下の差による。
協力・大学通信

※週刊朝日  2020年4月17日号




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