松本人志を愛する男・JP 「いじめ」乗り越えた先にあったモノマネ人生

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松本人志のモノマネで注目を集めるJP(撮影/小黒冴夏)

 ダウンタウン・松本人志のモノマネで人気を集めているJP(38)。1月30日、新型コロナウイルスの濃厚接触者となり自宅待機となっていた松本の代役で「ワイドナショー」(フジテレビ系)に出演。東野幸治のモノマネをする原口あきまさとともにオープニングで披露したモノマネが「クオリティーが高すぎる」と大反響をよんだ。ツイッターでもトレント入りを果たすなど知名度も急上昇。仕事急増中のJPに現在の心境とモノマネ誕生秘話など、話を聞いた。

【写真】JP自身がいちばん好きだと語る「左上の口角が少しあがる松本人志」

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●モノマネ芸人目指すきっかけは「いじめ」

――ワイドナショーへの出演が話題となりました。収録はいかがでしたか?

 ほんとうに緊張しました。他のバラエティー番組でワイドナショーのモノマネを披露したことは何度もありますが、今回はすべてが本物でしたから。当日ゲストのヒロミさんや真鍋かをりさんが目の前で見ているし、隣には西川貴教さんもいる。さらに、レギュラーの前園真聖さんや犬塚弁護士も。心の中では「うわ!犬塚弁護士おるやん!」とかって勝手に盛り上がってしまって。そんな緊張と興奮が混ざったような状態でしたので、収録後は、緊張の糸が切れてもうグッタリ…。ストレス性の偏頭痛をひき起こしました。

――番組出演の影響で仕事が急増しているそうですね。

 正直、注目されたことへの実感みたいなのはまだあまりないですが、ツイッターのフォロワー数が7倍以上に増えたのは驚きました。「初めてみました」「知らなかった」っていうコメントが非常に多かったので、少しは「認知されたかな」というのは感じています。お笑い芸人って、M-1グランプリやキングオブコントで優勝したり、バラエティーでいじられたり、フリートークがうまいとか、普通そういうので注目されるじゃないですか。でも、僕みたいに代役をきっかけにして注目されるっていうのは、あまり見たことのないパターン。モノマネ仲間からは「芸能界史上初めてちゃうか」っていじられたりしています(笑)。

松本人志モノマネは「100回の練習よりも1回の実践が重要」だと語る(撮影/小黒冴夏)

――今回の代役で「松本人志のモノマネ=JP」というイメージが定着したように感じます。

 そもそも僕は、昔から松本さんの大ファンでした。小学生の時は毎週「ごっつええ感じ」を楽しみにみていましたし、関西出身ということもあり、もう「松本人志」がDNAに刻まれているような子供でした。それと同時にモノマネも大好きで、農業高校時代には豚とか牛の鳴き声とか、学校の先生のモノマネなどを友人に見せたりもしていました。松本さんのモノマネに初めて挑戦したのは20歳の時。当時、僕はトラック運転手の仕事をしていたんですが、ある時、運転中にラジオから松本さんが作詞した「チキンライス」が流れてきたんです。その時に、何気なく松本さんの声マネで「きょ~うは~クリスマス♪」で歌ってみたら「ん?今のちょっと似てなかった?」ってなって。気のせいかもしれないと思って「街はにぎやか~お祭りさわ~ぎ♪」ってもう一度歌ってみたら「やっぱめっちゃ似てるやん」ってなって。その頃、モノマネでプロになるために上京の資金を貯めている時でしたし「松本さんのモノマネする人ってほとんどいないからこれはいけるかもしれない」、そんな気持ちになったのを覚えています。

――そもそも、なぜプロのモノマネ芸人を目指そうと思ったのでしょうか。

 大きなきっかけとなったのは「いじめ」です。あまり暗い感じには捉えないでほしいんですが、高校時代にいじられていた時期がありまして。同級生に暴力をふるわれたり、からかわれたりなど、いろいろです。ある時、いじめっ子にボクがモノマネ好きだというのがバレた瞬間があって、モノマネを目の前で披露しなきゃいけなくなったんです。最悪の展開で「嫌だな」と思いつつ「おっせぇよマジで!」って当時流行っていたドラマ「池袋ウエストゲートパーク」の長瀬智也さんのモノマネをやったんです。すると、いじめっ子がめちゃくちゃ笑ってくれて。「お前めっちゃおもろいな、すごいやん」って。そこから一切暴力的ないじめはなくなりました。その時に思ったんです。モノマネってすごいなと。いじめもなくなるし、こんなに喜んでもらえる。これを仕事にできたら最高やなって。「芸は身を助けるし、芸は人を生かしてくれる」。あの時の体験がなければ、プロを目指すなんて思ってなかったと思います。

JPがいちばん好きだと語る「左上の口角が少しあがる松本人志」(撮影/小黒冴夏)

●松本人志と美川憲一の声は同じ

――松本さんは動きなどに派手な特徴はない印象です。モノマネをやるには相当苦労したのではないですか?

 正直思った以上に難しかったです。最初は、松本さんが「フフ」って笑う「含み笑い」しかできませんでしたから。なので、まずは「ごっつええ感じ」に登場するキャラクターをやってみようと。そのほうが特徴もあるのでモノマネしやすいんです。それができるようになったら、そこからの逆算方式で"素"の松本さんもできるようになるだろうと考えました。モノマネって隙間産業。誰もやっていないことをやらないと売れない。逆にいえば、それを発見できれば売れるチャンスがあるんです。ちなみに、松本さんのモノマネは、鏡をみながら練習するとか、スマホに声を吹き込むとかはまったくしていません。とにかく実践あるのみ。とにかく舞台に立ち続けました。原口さんがモノマネする「さんまさん」のような"奥行き"のあるモノマネを目指さなければ売れない。そんな思いでした。だから、100回の練習よりも1回の実践です。

――松本さんと交流はあるのでしょうか?

 それがほぼないんです(笑)。初めてテレビで共演させてもらったのが、8年前の「ダウンタウンDX」でしたが、その時はタイミングがなく、挨拶すらもちゃんとできませんでした。その後も「ワイドナショー」や「ラフ&ミュージック」(フジテレビ系)に再現VTRみたいなかたちで出演しましたが特に絡むことはありませんでした。そんな数少ない共演の中で、最も印象に残っているのは2年ほど前に出演した「タウンワーク」のCMです。松本さん扮する「バイトの神様」の偽物役で共演させていただいたんですが、これもとにかく緊張しまして…。「とにかく失礼がないように」とそれだけ心がけてのぞんだのを覚えています。でも、本番中にすごく嬉しいことがありました。松本さんが「サプリやなくてアプリや!」っていうセリフを「アプリやなくてサプリや!」って間違えた時があったんです。「これ間違うわー」って松本さんがおっしゃっていたんですが、そのすぐ後に、今度は僕が同じ間違いをしてしまって…(笑)。その時に「な?これ、間違うやんな!」って松本さんが僕に話しかけてくださったんです!これは、めちゃくちゃ嬉しかったですね!僕からしたら「バイトの神様」なんかじゃないですから(笑)。あの瞬間は忘れられません。

――モノマネのコツやポイントを教えてください。

 声でいうと、実は、松本さんと美川憲一さんって同じライン上にいるんです。どちらも喉の奥の方でしゃべるというか。ベースは低い声。「いいえ私は~さそり座の女~♪」って美川さんのモノマネしている時に「あれ、今さっき松本さんおったな」って僕も後で気づきました(笑)。つまり、美川さんのモノマネを徐々に関西弁にしていけば松本さんになるってことです。美川さんモノマネができる人は試してみてください。あと、動きで特徴的なのは、松本さんってトーク番組などに出ている時、全然座り位置が決まらない。だから、よく動いています。ここも注目です。あと、浜田さんが横にいる時に、なぜか松本さんは耳をよく触ります。それと豚鼻もやりますし、両手の指先を額にのせるポーズも最近は印象的です。ちなみに、僕がいちばん好きなのは、ちょっとマニアックな笑いがおきた時に、左上の広角が少しあがる松本さんです(笑)。これも注目です。こんなんに言うてたら怒られるかな(笑)。

――最後に今後の目標などあれば教えてください。

 ウルトラマン、仮面ライダー、戦隊ヒーロー、ジブリ、ポケモン、鬼滅の刃、マーメイドヒーロー、ディズニーに出ることです。今の事務所(研音)は、お笑いの事務所じゃないので可能性がありそうだなと(笑)。どんな役でもいいので出たい!あと、モノマネでも、一日でも早く原口さんのような位置にいきたい。やっぱり、まだ原口さんに甘えている部分はめちゃくちゃあるので。収録などでも原口さんがいるといないとでは全然違うんです。安心するというか、「あーもう今日は楽だな」って思ってしまいます。でも、それでは駄目。ボクは、死ぬまでモノマネ芸人でいたいと思っているので、ヘタレはヘタレなりに、泣きべそかきながらでも、少しずつ成長していきたいと思っています。

――ありがとうございました!松本さんに何か一言ありますか?

 松本さんのお陰で今の僕がいます。本当にありがとうございます。次は共演させて頂けるように頑張ります。今後とも何卒よろしくお願いします!!

(聞き手・構成/AERA dot.編集部・岡本直也)