「東大生はリビング学習をしていた人が多い」「リビング学習をすると頭がよくなる」ということから「小学生のうちはリビング学習!」と思っている家庭が多いのではないでしょうか。AERA with Kids春号ではリビング学習を実践している家庭を取材。そこからは、見守りやすく子どもも安心して勉強できる反面、一歩まちがえると学習効果や親子関係が悪化しかねない「落とし穴」もあることが見えてきました。効果的なリビング学習にするには一体どうしたらよいのでしょうか。

文房具が多すぎるなら、子どもと一緒に要・不要を分けて処分するのも効果的(撮影/写真部・岡田晃奈)
文房具が多すぎるなら、子どもと一緒に要・不要を分けて処分するのも効果的(撮影/写真部・岡田晃奈)

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 多くの家庭の話から出てきたのは「『リビングで学習をすれば頭がよくなる』と思って気軽にやってみたところ、集中するどころか家の中はぐちゃぐちゃ、親子関係も悪化の一途をたどってしまった」というケース。整理収納アドバイザーで子育て経験もある大木聖美さんは、リビング学習がうまくいかなくなる原因について、次のように話します。

「リビングは家族が集う場所なので、さまざまなストレスが発生しがち。例えば物が増えて雑然としてしまう、学用品の収納がうまくいかない、ダイニングテーブルが片付かないなど……。これらのストレスが積み重なると、お母さんもイライラして親子ゲンカが増えてしまい、その結果子どももやる気ダウン、という負のスパイラルに陥ってしまいます。リビング学習のストレスは学習効果を下げる要因の一つですね」

 ストレスが小さいうちに解消できるといいのですが、気が付いたときはどこから手を付けたらよいのかわからない、というお母さんも多いとか。ではどのように部屋全体を調整していけばよいのでしょうか?

「ストレスの原因は何かを書き出して、取り掛かりやすそうなものから順に整えていきましょう。使いにくいな、と思ったときがアクションのとき。トライアンドエラーでもいいからやってみよう、と楽な気持ちで取り組んでみてください。例えば文房具が多すぎるということなら、子どもと一緒に要・不要を分けて処分したり、ダイニングテーブルが片付かなくて困っているなら、学用品を入れる箱を用意してさっと食事が出せるようなシステムを考えたり。子どもの使いやすさ、動きやすさから考えていくと、判断がしやすくなります。処分時に迷った時のために一時ストック箱を用意するのもおすすめです」(大木さん)

 また、もう一つの落とし穴となるのが、リビング学習でのお母さんのスタンス。親は「やるべきことをどんどんやる子」になってほしいと常々思うものですが、だからと言って「問題を解く子どもの監視をする」となってしまうと本末転倒に。「早くしなさい!」「答えが全然合ってないじゃないの!」という言葉が出てしまい、モチベーションや集中力は下がってしまいます。プロ家庭教師の西村則康先生は、リビングで学習効果を上げるかかわり方について以下のように話します。

「リビング学習の本質は、関わり合いながら学習を進めること。特に言葉で解き方を振り返ると学習したことがより定着します。『今日やった勉強のうち、難しかったのはどれ?』『お母さんに教えて』と話しかけてみてください。お母さん自身が快適な空間に子どもを招き入れるような気持ちでいられることが大切です。『へぇすごいね』『こんなに難しいのよく解けたね』という認める言葉で、子どもはグンとやる気が出るんです」

 リビング学習は長時間の演習にも使えますが、気楽に親とコミュニケーションを取りながら短時間で学習するのにもぴったり。落とし穴に気を付けながら、楽しく集中できるリビング学習を今日から実践してみませんか?

AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2018年 春号 [雑誌]

高濱正伸,安浪京子,tomekko

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AERA dot.編集部
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