<Q3 一般市民は関係ない?>

「組織的犯罪集団」のメンバーじゃないから自分は関係ないと思うかもしれない。でも「組織的犯罪集団」は、暴力団に限らない。たとえばLINEのグループ、趣味のサークル、会社のような、罪を犯すことを目的にしない集団でも、「途中で性質が一変した」と警察が判断すれば、処罰の対象になりうることもあると、政府は答弁した。

「共謀」の定義も幅広い。たとえば自分が入っているLINEのグループで万引きの計画がやりとりされていたら、それを読んだだけで「組織的犯罪集団」の一人として「共謀した」とみなされる可能性がある。まだ誰も、何も盗んでいなくても。一般市民でも、捜査の対象になりうる。

<Q4 監視社会とは>

 犯罪計画を話し合っているかどうかを調べるためには、警察は「あやしい」と思った人たちのSNSをこっそり見たり、電話を盗聴したりというプライバシーに踏み込んだ捜査が必要になる。この法律は、そうした捜査を幅広く合法的なものにする点でも問題がある。個人のプライベートな情報を、国が見たいだけ見ることができる社会は、息苦しくないだろうか?

<Q5 本当の目的は?>

「共謀罪」法の本当の目的は、政府の方針を批判しにくくすることではないだろうか。たとえば海の埋め立てに反対して大勢で座り込むようなことは、民主的な意思表示として本来、許されるべきことだが、「座り込みにいこうか」と話し合うだけで共謀罪を犯したことになってしまうかも……そう思うと怖くて萎縮してしまうよね。

 人々が萎縮すると、批判の声も上がらなくなり、政府は何でもできるようになる。政府が憲法や法律に違反するような間違ったことをしないよう、国民が監視したり、意見を言ったりするのが民主主義の基本だ。そうしたことがしにくくなり、誤りを修正できなくなるのはとても怖いことだ。「共謀罪」法は、民主主義の土台を切り崩す性質を備えている。危険な法律といわれるのは、そのためだ。

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