■憲法改正を争点から外す
選挙前は、憲法改正問題が注目された。安倍晋三首相が、憲法が禁じてきた集団的自衛権の行使を容認して安全保障関連法(安保法)を成立させ、「いよいよどの条項を改正すべきか、現実的な段階に移ってきた」と改憲への意欲を示していたからだ。
ところが、首相は参院選の直前に消費税引き上げの再延期を決め、「参院選でその信を問う」と表明。賛否両論がある憲法改正を争点から外し、経済政策「アベノミクス」推進を主張の柱にすえた。対する野党は民進、共産などの4党が、憲法違反の疑いのある安保法を制定した首相の政治手法を批判。「ストップ安倍政治」を旗印に共闘した。
参院選は改選数1の「1人区」(全国で32議席)の勝敗が全体の勝負を大きく左右する。野党4党は初めて全1人区で統一候補を立てて戦った。その結果、野党勢は3年前の2議席から11議席に大きく増えた。東北地方で強かったが、西日本では振るわなかった。
全体では自民、公明の与党が改選議席の過半数を上回り、勝った。無所属なども含めた改憲勢力は全体の3分の2に達し、衆議院と参議院の両方で3分の2を超えた。ただ、具体的に憲法をどう変えるかは各党にさまざまな意見があり、議論の先行きはまだ見えない。
※月刊ジュニアエラ 2017年1月号より
ジュニアエラ 2017年 01 月号 [雑誌]
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