ファイナンスのモデルは米軍です。

 最高峰かつ高性能の製品づくりのためには常に研究開発に惜しげなく資金を投入する。そして、古くなった技術は隣国に販売して資金調達する。

 私が正しいと考えているのは良い悪いではなく、最も強いチームをまねること。このことはクラブに入ったばかりの中学1年生の保護者会でも伝えています。

 もし、4月、5月、仮に夏までクラブ活動ができないとなるとこの1年間に予定している主要なイベントと納品物がすべてなくなり、数百万円の売上金も吹き飛んでしまう。

 それは、部活の存続そのものに関わることなのです。

 早急にリモートワークに切り替えた理由は、この最悪の状況に備えたリスク管理でもありました。

 それから1カ月後。

 生徒たちの活動報告はFacebookグループで随時上がってきましたが、その成果は想像以上のものでした。

 高校生が中学生の自宅のパソコンをリモートして、CAD(コンピュータによる設計支援ツール)の使い方を教えていたり、Web会議ソフトのZOOMでミーティングをしたり。

 もともと、休校以前も、私は部員たちとLINEや通信でつながり、昼夜問わず図面などの質問を受けることはありました。つまり、私と主に中3、高1の子たちがやっていたやりとりを、今回彼らが下級生に教えてあげるイメージです。

 また、このクラブ活動は、いろいろな資格試験に挑戦することを推奨しています。

 中学3年になったら日商簿記3級、危険物取扱者乙4類、第二種電気工事士、アマチュア無線4級などなど。知識がないと、考えることも思考することもできないからです。

 先輩たちが合格した姿を見ると、後輩たちもそれに触発されて挑戦するようになる。

 皮肉にも、この休校で彼らはものづくりのために試行錯誤する時間や資格試験のための勉強時間がたっぷり取れ、通常より充実した春休みを過ごしていました。

 この1カ月余りの成果を見て、私自身、改めて「学校での学びってなんだろう」と考えるきっかけになりました。

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