2 感染者が出た場合に「犯人捜し」をしない

 最近は、学校現場で先生の感染が出始めている。当該校は休校になるので、保護者の間では「あの、先生らしいよ」とうわさになり、犯人捜しが始まる。これは、人間の心理として当然かもしれない。また、保護者によっては休校によって仕事の調整も必要になってくるので、不満が募るのもよくわかる。しかし、そのような雰囲気が学校全体に蔓延すると、線の細い先生は、体調回復後の復帰に恐怖を覚えてしまう。そこでさらに休むと、完全に負のスパイラルに陥る。今度は現場もその先生の穴埋めに忙殺され、保護者も「まだ、休んでいるらしいよ」と炎上する。ともすれば、病気休暇から退職という最悪のシナリオにもなりかねない。
 
 もちろん、児童の感染者が出た場合も同様であるが、仮に学校内で感染者が出た場合、保護者は必要以上に(特に子どもの前では)騒ぎ立てないでいただきたい。どんなに気をつけても感染のリスクは誰にでもある、ということを肝に銘じておくべきだろう。

3 教員1年目の先生にはおおらかな目を

 学校再開後の今、とくに厳しい状況に置かれているのが新規採用教員だ。新規採用教員は初任者研修もままならぬまま、不安定な状態にある学校という荒波に身を投じている状態である。

 もちろん指導教諭もいるだろうが、その教諭自身も自分の職務で手いっぱいだろうし、教頭先生においては多様な対応に追われる日々だろうから、サポート体制も確立されていないだろう。毎年、新規採用教員が数カ月後に休みがちになってしまうケースを耳にするが、今年はやはり多くなっているようである。一年目の先生には、周囲は時間をかけて見守っていただきたい。先生方はなんとか夏休みまで乗り切って、少しでもリフレッシュしてもらいたい。

 とにかく現在、心身ともにギリギリのところで教育活動を進めている先生が多い。

 文科省も現場の先生を支える人的予算を付けると公表しているが、果たして学校現場が必要とする人材が見つかるのかは疑問だ。日本の先生は諸外国からも評価されており、高い資質、能力を持っているのは確かだ。それを支えているのは給料でも名誉でもなく、自身の強い使命感である。しかし、今のコロナ禍の厳しい環境下、その使命感が持ちこたえられるのか、非常に心配だ。ぜひ、保護者の皆さんが先生を支えてあげてほしい。それが、お子さんにとって健全な教育環境を整えてあげることにもつながるはずである。(構成=AERA with Kids編集部)

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AERA編集部
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