次に入試の動向をみてみよう。少子化により、募集停止や入学定員を減らす学校がある一方で、2000年以降はほぼ毎年新設校が開校しているため、私立小全体での入学定員は微増傾向にある。文部科学省の統計要覧(令和2年版)によると、15年の私立小の児童数は7万7082人、19年は7万8181人だった。
21年度入試については、新型コロナウイルス感染拡大が大きく影響しそうだ。小学校受験に詳しい伸芽会教育研究所所長の飯田道郎さんはこう話す。
「入試が行われる時期にコロナがどう影響するかを予測するのは難しく、8月時点で入試日程や入試方法が確定していない学校も多くあります。試験日を当初の予定よりも遅くする、例年実施していた考査をやめて面接のみにする、といった学校も出てきています。学校の情報は、こまめに確認するべきでしょう」
志願者動向についても予測が難しい。「学校側はコロナ禍で経済的に影響を受けた家庭や、キーワーカーの保護者が多忙を極め、受験準備に割く時間が確保できず、小学校受験を諦めるかもしれないことを懸念している」(飯田さん)という。一方で、休校期間中の学習支援で私立小と公立小の差が際立ったことで、保護者の私立小への関心は高まっている。
「ほとんどの私立小が早い時期からICTを活用した遠隔授業やホームスクーリングを行いました。コロナ禍における私立小の素早い対応に注目が集まっています。また休校で生じた学習の遅れや中止になった行事なども、小中高一貫校のようにスパンの長い私学ではリカバーしやすいという点も魅力です」(同)
充実したICT環境は、私立小ならではの強みだ。「学校自慢の環境や施設」を聞いた本誌の調査にも、多くの私立小が「電子黒板の設置」や「1人1台タブレット保有」などと回答している。
「私立小は各学校単位でみれば規模も小さくフットワークも軽いため、全児童にタブレットやPCを導入するのは容易。保護者も非常に協力的です」(同)
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