佐藤:だからね、いかにめんどくさくても一歩踏み込んでやらせるか、めんどくさいことをできるようにさせるか、というのが大事だと思います。
安浪:めんどくさいことはいかに習慣づけるか、が勝負ですね。
佐藤:そうそう。親だってそうなんですけど、人間は基本怠け者なんですよ。だからめんどくさいものは習慣づけてしまうほうが早い。
安浪:そうです。私もまずは、漢字と計算だけは習慣づけてやるように指導しますね。1日10分でも5分でもいいから毎日コツコツと続けること。ダラダラやるのではなく、短時間集中。こういう泥臭い習慣づけこそ、学習習慣の盤石化になります。
佐藤:私が学習習慣づけでよく言っているのが、毎日の勉強時間のスタートを決めること。例えば、毎日7時半から8時までは勉強時間、って決めたら7時半になったら何があってもやる。お母さんもその時間になったらそばにいてあげる。「食事のあとのお皿を洗いたい」って思うかもしれないけれど、それは後回し(笑)。いかに子どもファーストの時間を作ってあげられるか。それには家族みんなの協力が必要です。
安浪:そうですね。下の子がテレビを見ていたり、親がスマホをいじっていたりしているのに、子どもだけに「勉強しなさい」といってもまったく効果がありません。
佐藤:うちではきょうだい4人でみんなで同じ時間に勉強を始めていました。もちろん、年齢が違うので下の子はお絵かきとか迷路などでもいいんです。「みんなで勉強をやる時間なんだから逃げられない」という空気感を作ることが大事です。
安浪:そうですね。計算問題ならお母さんもいっしょにやって競争する、理科や社会の知識問題なら親子で交互に問題を出し合ってみるとか。とにかく、子どもの行動を変えたいなら親自身が行動を変えることです。
佐藤:仕事をしていて、そんなに子どもと向き合えない、という方もいるかもしれません。でもどんなに忙しい人でも30分は向き合えると思うんです。最初はいつもの生活に30分子どもとの勉強の時間を作るのはすごく大変かもしれない。だったら10分を目指す。何があっても夜8時から8時10分はやろう、と決めて他の用事は無視する。10分できるようになったら10分を20分、20分を30分に増やすのは意外と簡単なんです。すごくめんどくさいかもしれないけれど、中学受験をやる、ってそういうことだと思うんですよね。親は自分の生活を変えないで子どもだけやらそうというのは甘過ぎると思います。
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