義理の母が、娘さんのために心を込めて洋服を作ってくださるのは、孫への深い愛情でしょう。この愛情に対して、感謝する気持ちを忘れてはなりません。礼儀と謙虚さをもって義理の母に接することは大切です。
ですが、それが自分にとって負担とならないように知恵を絞ることも重要です。相談内容からは、相談者さんの受け身の姿勢がうかがえます。「ありがた迷惑」と思うのは受け身だから。ここから抜け出せないと、不愉快さがつのるだけですよ。
孔子はあらゆる場面で人間関係を「ほどよく、うまく、適切」に対処できるようにしなさいと教えています。
ぜひ、「敬遠」の例のように、相談者さんは主体的に物事に向き合い、適切に回避する知恵を身につけてください。そうした行動は、きっと娘さんの教育にもいい影響を与えるに違いありません。
義理の母には深い感謝の気持ちを抱き、娘さんに着せたくない服は着せない。そして手作りの服については話題にならないように努めることです!
【まとめ】
娘さんに手作り服を着せる必要はない。義理の母には尊敬を捧げつつも、一定の距離を保つこと。ただし深い感謝の気持ちを忘れずに
山口謠司(やまぐち・ようじ)/中国文献学者。大東文化大学教授。1963年、長崎県生まれ。同大学大学院、英ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現職。NHK番組「チコちゃんに叱られる!」やラジオ番組での簡潔かつユーモラスな解説が人気を集める。2017年、著書『日本語を作った男 上田万年とその時代』で第29回和辻哲郎文化賞受賞。著書や監修に『ステップアップ 0歳音読』(さくら舎)『眠れなくなるほど面白い 図解論語』(日本文芸社)など多数。2021年12月に監修を務めた『チコちゃんと学ぶ チコっと論語』(河出書房新社)が発売。母親向けの論語講座も。フランス人の妻と、大学生の息子の3人家族。