「勉強しなさい」と声をかけてもやる気がなかったり、ダラダラしたり。我が子の勉強についての心配は絶えないもの。効果的な勉強法について、精神科医の樺沢紫苑先生が教えてくれました。発売中の「AERA with Kids2022春号」(朝日新聞出版)から一部を抜粋してお届けします。
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■インプットとアウトプットの黄金比率は3対7
勉強しているはずなのに、なかなか学習内容が定着しない……。そんなときはインプット過多でアウトプット不足かもしれません。ある調査で大学生の勉強時間を調べたところ、インプットとアウトプットの平均比率は7対3でした。やはりインプット過剰の傾向があります。
コロンビア大学の研究で小3~中2の子どもに暗唱をさせるときに「覚える時間」(インプット)と「練習する時間」(アウトプット)の割合を調べたところ、「覚える時間」が40%のグループがもっとも高得点でした。年齢が上の生徒では覚える時間が少なくてすむようになり、30%のグループが高得点でした。つまり、アウトプットの比率でいえば、勉強初心者は6割、慣れた子は7割にするのが効果的な勉強法と言えます。小学生なら勉強をするときに、アウトプット6~7割を意識してみてください。
<親の行動point>
テキストを読むだけでなく、問題をどんどん解いていこう。暗記は声に出す、書くのがポイント。習ったことを家族に教えるのも効果的。
■勉強の目標は「ちょいムズ」にすると長続きする
目標は低めに設定することが大事です。たとえば、普段あまり勉強しない子がいきなり「毎日、計算問題を10ページやる」と大きな目標を掲げても、達成するのは難しいでしょう。目標が達成できないと、すぐに続かなくなってしまいます。
私はよくいろんなところでお伝えしていますが、「脳は『ちょいムズ』を好む」ということがポイントです。やる気には脳内物質のドーパミンが深く関わっています。集中力や記憶力にも必須の物質です。ドーパミンが分泌されると、「勉強をやるぞ」というモチベーションが湧き上がってきます。ただし、ドーパミンは高すぎる目標のときには分泌されません。脳は無理だと思うと、本来の働きをしなくなるからです。だから、勉強の目標を設定するときには、簡単すぎず、難しすぎない内容がちょうどいいといえます。お子さんに合ったレベルや内容を考えてみましょう。
<親の行動point>
目標を立てるときは子どもに相談をして、「頑張ればなんとか自分にもできそう」と思えるレベルや分量を見極めて。無理強いは禁物!