藤田さんも同意見で「ニューウェーブの学校が増えました」と分析する。共学化や名称変更に加え、時代のニーズに合わせて新規のコースを開設する学校が目立つという。15年度に戸板中学校・女子高等学校から共学化を図って改称し、インターナショナルコースなどを立ち上げた三田国際学園中学校・高等学校(東京)や、21年度に村田女子高等学校から共学発展した広尾学園小石川中学校・高等学校(東京)などが注目を集めている。

■都立の中高一貫校では教員の公募も実施

 東京都では都立の中等教育学校や併設型の中高一貫校で、教員の公募を行っている。例年、主任養護教諭、養護教諭を除く全教科で応募を受けつけており、希望する教員は、授業に関する実績や中高一貫校に配属された際の抱負などを作成して応募。書類選考のうえ、個別面接を受ける。

「応募してくる教員は『中高一貫校で教えたい』という情熱を持ち、中学と高校の両方を指導する力量も求められます。都立中高一貫校教員の公募制度であるため希望する学校に配属されるとは限りませんが、倍率は高く、公募選考で異動してきた教員は大きな力になってくれます」(栗原さん)

■公立の中高一貫校は数が少なく、狭き門

 埼玉県では19年度にさいたま市立大宮国際中等教育学校、21年度に川口市立高等学校附属中学校が新設された。福島県は、進学校の安積高等学校を25年度に中高一貫校に発展させる計画を発表している。

 全国的に公立中高一貫校の新設の流れがある一方、一覧(別表)のとおり、公立中高一貫校の数はまだ限られており、倍率は高くなる。たとえば東京都教育委員会が発表した21年度入試の都立中高一貫校計10校の平均受検倍率は4・87倍。私立の「男子御三家」の一つ、開成中学校が2・6倍だったことを考えると、都立の倍率の高さは際立つ。

 検査(入試)の日程も門を狭くしている。「都道府県ごとに、公立の中高一貫校の入試日は同日に設定されています。つまり、基本的に公立の中高一貫校は一校しか受けられません」(藤田さん)

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