■国立では最先端の教育を受けられるが、高校受験が必要

 国立大学の附属中学校は、もともと大学の教育実験校として設立された背景を持つ。そのため、文科省の学習指導要領改訂が意識された最先端の教育を受けられる。

「最近だと、『発表型の授業』と言って、学んだことを教え合い、インプットとアウトプットを繰り返して理解を深める学びが主流になっています」(藤田さん)

 一方で、国立校の多くは、内部進学を含め、一貫校であろうとも高校入試を受ける必要がある。そして、最先端の教育が必ずしも高校受験の勉強に重ならない点には注意が必要だという。

「エスカレーター式で高校に上がれるわけではないので、他校を受験する生徒も一定数います。国立の中学校に入学した場合は、内部進学を狙っていたとしても中学生のうちから塾通いを想定したほうがいいと思います」(藤田さん)

■公立は教員の研修制度が豊富で、指導力も充実

「教員の人材育成に関しては、公立は私立以上に組織的に充実していると思います。生徒の学びを伸ばす授業力を高める仕組みが整っています」(栗原さん)

 公立校の教員は、文科省の主導と教職員支援機構の運営のもと、体系的な研修を受けるのが基本だ。教職員研修は「自己研修」「校内研修」「校外研修」の三つに分かれており、さまざまな角度から指導力を向上させる。

 教員の経験年数に応じた制度も用意されている。新規採用者を対象とした「初任者研修」と、在職期間が10年程度の教員に向けた「中堅教諭等資質向上研修」が代表例だ。ベテランの教員が研修時に講師を務め、教科指導や生徒指導などに必要な能力を伸ばしていく。

「公立の中高一貫校もそれぞれ独自の教育方針を掲げているうえ、カリキュラムも整備されていますから、大学への進学実績もしっかりと上げています。公立一貫校でも質の高い授業が受けられると思ってよいでしょう」(藤田さん)

■公立の中高一貫校も私立並みに特色を打ち出している

 公立校では画一的な教育が行われている印象があるかもしれないが、必ずしもそうとは言い切れない。「私が勤めた都立小石川中等教育学校は『小石川教養主義』『理数教育』『国際理解教育』を打ち出しています。先進的な理数教育を行う学校として、文科省から『スーパーサイエンスハイスクール(SSH)』にも指定されています」(栗原さん)

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