「中学受験を楽しむ」と「勉強を楽しむ」は違う

安浪:私も指導先のお子さんに下のきょうだいがいると、この親御さんと同じような相談をよく受けます。数字好きの男子って多いですしね。確かに、幼児や低学年向けの算数教室もあるので、そこを紹介することもありますが、そこにハマる子もいれば、そこで嫌いになってしまう子もいる。結局「相性」なんですよ。

矢萩:だから、「中学受験を楽しむ」のと「勉強を楽しむ」のは違うんですよね。もっと言えば「中高生活を楽しむ」には、どういう環境が合うかを見極めないといけない。1年生〜3年生の数年間は、そうした“見極め期間”として、「この子は何に夢中になれるか」を丁寧に観察してあげてほしい。

矢萩邦彦さん
矢萩邦彦さん

安浪:何度も言いますが、年長〜低学年の「算数が得意」「漢字に興味津々」っていうのは、4年から始まる受験コンテンツとはちょっと別物とわかっておいていただきたいです。たとえ数字が好きでも、算数や数学が得意でも、受験算数にハマらない子もたくさんいます。

矢萩:ちゃんと読み書きができているのであれば、3年生から塾に入ることは可能です。だからそんなに心配しなくても大丈夫です。最初はクラスが上かどうかも関係ないです。

安浪:「何が何でもこの中学!」と決めていてアスリート型の受験するならば話は別ですが、「中学受験を楽しめたらいいな」と書いていらっしゃるので、いわゆる中学受験の勉強は王道の3~4年生スタートでいいと思います。ただ、そこに乗っていけるような素地づくり、つまり読み書き計算、学習習慣などはご家庭で育んでおいてくださいね。

(構成/教育エディター・江口祐子)

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安浪京子
中学受験専門カウンセラー/算数教育家 安浪京子

やすなみ・きょうこ/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は佐藤亮子さんとの共著『中学受験の意義 私たちはこう考えた』(朝日新聞出版)。オンラインサイト「中学受験カフェ」主宰。

矢萩邦彦
中学受験塾塾長 矢萩邦彦

やはぎ・くにひこ/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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