都内で小学5年を担任する50代男性教員も、「距離感の近い子」への対応に頭を悩ませます。
「子どもによっては性別関わらず距離感が近い子がいます。小学生は距離感が離れすぎていると信頼を構築するのが難しくなる。でも、距離感が近ければ悪いうわさを流されるかもしれない。触らず触らせずというご時世。大切なのは子どもとの信頼関係なのですが……」
と打ち明けます。
「手を出せない」体育指導の現実
「体育指導でもやりづらさを感じる」と話すのは、関東地方の公立小で小学4年を担任する30代男性教員です。効果的な指導ができないことに、もどかしさを感じています。
「一番難しいのは、体育のマットや跳び箱、水泳指導です。手でお腹を押さえて回転させてあげたり、体を支えてあげたりする補助は、苦手な児童が上手になっていく過程の中で効果的です。
ただ、嫌がる児童もいるかもしれないと考えると、声かけだけの指導で終わってしまうことが多いです」
数年前まで男子には補助をしていましたが、今はどちらにも配慮していると言います。
「子どもたち自身は大丈夫でも、家に帰ってから保護者に伝わり、伝わり方次第では……ということも考えられます。子どもとの信頼関係でこれまではやってきましたが、それだけではもうどうにもできない時代になってしまった気がしています」
と男性は胸の内を明かします。
不安と葛藤の中で…悩みながらの指導
千葉県の公立小で5年生を担任する20代男性教員は、体育で適切な補助はするものの、「不安との葛藤」だと語ります。
「男性教員という立場上、補助の仕方によっては誤解を招く可能性があるのではないかと不安になり、神経を使うようになりました。
なるべく児童の正面ではなく横から補助したり、動作の意図が明確になるよう声かけしたりして、誤解を避ける工夫をしています。『技術を伸ばしてあげたい』という思いと、指導への不安との間で葛藤しながらやっています」
1対1の児童の指導は可視化
この男性の勤務校では、一連の事件を受けて鍵の管理体制が厳しくなりました。以前は各担任が自由に管理していた特別教室の鍵は、管理職の許可がないと使用不可に。
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