ある日、税務署に行く前にコンビニに立ち寄ったとき、レジの前でうちの子が突然、「パパ、このあと刑務所~?」って言ったんです。もう、あの瞬間は完全にフリーズしました(笑)。

かと思えば、トイレで用を足している最中に急に入ってきて、僕の手を握りしめながら、
「わたしこの手をはなさない。だってパパが大大大大ダーイすきだから」って。もう、泣くしかないですよね。
そんなふうに、これまで描いてきた漫画はすべて、「最高に幸せ!」「最高に笑った!」「最高にギョッとした!」など、いろんな意味で最高なエピソードばかりです。
僕にとっての「縦線の顔」は、そういう感情の爆発を表す記号みたいなものかもしれません(笑)。

つらいときは…「この経験や状況は、今しかないよな」
――これまでの子育てで、特に思い出深い出来事はなんでしょうか。
さっきのお話もそうなんですが、ほかにも印象に残っていることがいくつかあって。
たとえば、インスタントのお味噌汁を出したら、子どもに「パパ、お味噌汁上達した?」って言われたことがあるんです(笑)。あとは、長女が車内でハンバーガーを食べていたとき。食べ終えた直後に、「で……今日のお昼ごはん、なに?」って聞かれて、思わず笑ってしまいました。
どれも、ほんの些細な日常の一コマなんですが、この2つのエピソードを描いた漫画には共感のコメントをたくさんいただきました。
それから、次女とのお店屋さんごっこでもびっくりしたことがあって。僕がお客さんで「パンください」って言ったら、店員役の次女が「携帯見せてください」って。おもちゃのスマホを差し出すと、「ペイペイ♪」って(笑)。まさかの現金払いじゃなかったんですよね。
――漫画では、疲れもイライラも笑いに変えて描かれています。そのポイントは?
子育てをしていると、家事に仕事に毎日バタバタで、正直しんどくなることもありますよね。疲れやイライラ、負の感情が湧いてくる日もたくさんあります(苦笑)。
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