子どもは体温調節が苦手で、大人と比べて熱中症になりやすい傾向にあります。小児科専門医の横井健太郎さんに、子どもならではの注意点と予防について聞きました。「AERA with Kids 2025年夏号」(朝日新聞出版)から紹介します。
【図】子どもの熱中症、症状のチェックリストはこちら「プール」でも要注意
総務省によると、2024年5~9月の熱中症による救急搬送人数は累計9万7578人で、08年の調査開始以降、過去最多です。とくに6月と7月の搬送人数は過去2番目で、9月は過去最多。夏まっさかりの7~8月以外にも、熱中症に注意が必要なことが分かります。
「子どもは、自分の言葉で症状をうまく言えないことが多いです。お子さんが『頭が痛い』とだけ言って寝てしまい、親御さんが熱中症に気づかなかったり、運動会やクラブ活動、校外学習などで弱音を吐けず我慢してしまったりするケースがあります」と横井さん。
自由に水分が取れる状況づくりを
「子どもが普段から自由に水分にアクセスできる状況にしておくことが大切です。水筒を持たせ、のどが渇いたら飲むというのを習慣づけましょう」
そのほか、夏ならではの注意点は「プール」だと言います。
「プールに入っていると、汗をかいている実感がなく、水分補給を忘れがちです。プールでの熱中症は意外と多いので、こまめな水分補給を心がけましょう」
病院に行く基準は?
明らかにぐったりしているときや、子どもが自力で水を飲めないときは、病院を受診しましょう。頭痛や気持ち悪さ、手足のしびれ、皮膚の乾燥なども、熱中症の疑いがあります。熱中症は、○℃以上だからかかる、これくらい運動したからかかる、というものではありません。その日の気温や、お子さんがどれだけ暑さに慣れているか、運動量などを把握し、「おかしいな」と思ったらすぐに対応できるようにしましょう。
医師に聞く!熱中症を予防する3つのポイント
<Point1>服装はゆったりと
首のつまった服やぴったりとした服は、通気性が悪く体に熱をため込んでしまいます。なるべくゆったりとした、締めつけのない服を選びましょう。日焼けや虫さされの面では、半袖より、七分袖のほうがおすすめです。服の下には肌着を着用し、汗をかいたらなるべく着替えましょう。ポイントは、服の裾はしまわず、出して風の通り道をつくることです。
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