小さいうちは「賢い」より「楽しい」が優先
――楽しいと思う気持ちは、子どもにとって何よりのモチベーションになりますね。
子どもが小さいうちの学びでは、たくさん寄り道をさせたいんです。優先順位は「賢くなること」より「楽しいこと」。娘は3歳からくもんの国語と算数をやっていて、幼稚園のころはよく、僕がオリジナルの漢字テストを作っていました。問題文にたくさんポケモンを登場させて、用紙の余白にもイラストを描いてね。娘もすごく喜んで、普通のプリントはやる気が出ない日も、進んでやってくれましたね。
子どもが好きなことを学びに繋げた、と言う意味では「YouTubeごっこ」も娘はめちゃくちゃ気に入ってくれました。YouTuber役の娘が「今日は私のお気に入りのぬいぐるみをご紹介します!」なんて話し始めると、フロアディレクター役の僕が娘の前に片膝を付いて、カンペを出すんです。ポイントは、そのカンペの中に覚えてほしい漢字やひらがなを盛り込んでおくこと。僕が真剣じゃないと娘ものってきませんから、実際に動画も撮影して、カンペの紙もよくテレビ局のディレクターさんがやっているみたいに隅っこを折って(笑)、リアリティには徹底的にこだわりました。
――そういったアイディアは、どうやって考えるんでしょうか?
僕は母から「自分が望むものを手にいれるためには、頭を使わないとだめなんだ」ということを、教えてもらいました。だから僕自身も親となった今、どうやって日常の中で子どもたちに頭を使わせるかはよく考えています。
例えば、パパやママの言うことに納得できないときは「口ごたえ」をしなさい、というのもそのひとつ。口ごたえは、言い換えれば交渉です。希望を叶えたかったら、何でもいいから口ごたえしてごらん、って。子どもが口ごたえしてきたら、しっかり話を聞いて、なるほどと思えば要求に応じるし、それは違うんじゃない?と思えばそう伝えます。相手が子どもであっても、ほどよく手加減しながら、真剣に向き合うことが大切だと思っています。
(構成/木下昌子)