それがある日、何気なく観ていたテレビの討論番組の中で「1987年以降に生まれた『ゆとり世代』は、学力が大幅に低下する」という話題が出て。1987年はまさに僕が生まれた年です。「教育の内容は国が決めたことなのに、どうして学力が低下するとか言われなきゃいけないんだ」と思い、教育学の専門家に取材を申し込んだんです。

 結果、かつて海城高校で教鞭を取っていた教育評論家の“尾木ママ”こと尾木直樹先生を始め、数人の先生方に話を聞くことができました。みなさん教育業界の第一線で活躍する偉い先生でしたが、僕が取材に行くと「清水くん、頑張って!」なんて声を掛けてくださって、とても嬉しかったのを覚えています。

中学生のときの清水さんと、尾木直樹さん(提供)
中学生のときの清水さんと、尾木直樹さん(提供)

 取材中、特に印象に残ったのが、先生方の教育に対する熱い思いでした。「経済がお金を作り、政治は法律を作るように、教育は人を作り、その人たちが社会を作る。教育こそが社会のために一番大切なことだ」という言葉を聞き、これほどの人たちがここまで情熱を注げる教育とは、それだけやりがいがある仕事なんだろうと興味を持ったんです。以来、大学、大学院から今の仕事まで、ずっと教育一筋でやっています。

ポケモンでカタカナを勉強

――娘さんは7歳、息子さんは2歳です。ご夫婦とも忙しい中、育児の分担はされていますか?

 幼稚園のお迎えなどはスマホのアプリでスケジュールを共有しながら、妻と連携を取ってやっています。育児の分担をはっきり決めたのは、息子が生まれる前ですね。夫婦で話し合い、産前と産後しばらくの間は妻が息子の担当、僕が娘の担当と決めました。出産後はどうしても赤ちゃんに手がかかりますから、その間、娘が退屈しないように僕がいろいろなところへ連れて行こうかな、と。

――どのようなところに行かれたのですか?

 子ども向けの施設はあちこち行きましたが、中でもよく行ったのが、電車で数駅のところにあったゲームセンターです。表向きの目的はポケモンのゲームなのですが、実は僕なりに考えた“裏ミッション”もあって。ポケモンの名前でカタカナを覚えること、ポケモン好きな幼稚園の友だちと仲良くなること、家にこもりがちだった娘を外に連れ出すことという3つの目的を、ゲームセンター通いの中で達成しようと思っていました。大好きなポケモンゲームができると思えば、娘も頑張れますからね。

出かけるときにはオリジナルビンゴを作成
出かけるときにはオリジナルビンゴを作成
ビンゴに挑戦する娘さん
ビンゴに挑戦する娘さん
街で発見したものにはシールを貼り、クリア!
街で発見したものにはシールを貼り、クリア!
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