社内学童は利用した社員の95%が、子連れ出勤は75%が「また利用したい」と回答しています。「子連れ出勤」は本年度も力を入れようと思っていて、すでに4月、大阪、品川の両オフィスで1カ月実施しました。品川では5名の社員が、大阪は2名の社員がおこない、兄弟や姉妹で参加した子どもたちもいました。実践人数は多くありませんが、一部の社員にとっては選択肢として役立つため、今後も継続していく方針です。他の事業所でも開催したいという声があるので、今後検討したいと考えています。

——何か課題はありましたか?

 おおむね好評だったのですが、品川オフィスで特に多かったのが、「子連れでの通勤ラッシュや乗り換えが思った以上に大変だった」という声です。普段は乗り慣れていない電車に、子どもをなだめながら乗るのは、やはり負担に感じる社員が多かったようです。

 また、「子どもの様子が気になって、仕事への集中度が少し下がった」「昼食のタイミングやお迎え時間の調整が難しかった」といった実務面での調整の難しさも課題としてあがってきました。子連れ出勤では「会議のため離席していた時間、子どもが一人になってしまった」「自分の子どもしかいなかった日は、子が退屈そうにしていた」という意見もありました。

社員は社会から預かっている財産だから

——育児とキャリアの両立を可能にするために、ほかにどのような施策を行っていますか?

 2024年は、育児と仕事の両立における「環境面のハードル」を取り除くことに注力しました。

 子どもの体調不良時や学校行事などに柔軟に対応できるよう、勤務時間の中抜けのルールを整備しました。子の看護等休暇も小6まで拡大しています。

 取りにくいという声の多かった生理休暇については、「ウェルネス休暇」と名称を改め、PMS(月経前症候群)や妊婦検診、男女の不妊治療でも使えるよう用途の幅を広げています。

 制度面での整備と同時に取り組んでいるのが、アンコンシャス・バイアスと呼ばれる無意識の思い込みの解消です。「Aさんはお子さんが小さいから出張は難しいよね」「育児中で大変だから、新しい仕事は渡せない」といった一見配慮に見える言葉には、社員の可能性を制限してしまう恐れも。意識の面でも組織をアップデートしていく必要性も感じています。

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