保護者会ではちょっと聞きにくい。でも、気になる!そんな話題を現役小学校教諭に教えてもらいます。今回は「新年度」について。お話を伺ったのは東京学芸大学附属世田谷小学校の木村翔太先生。「AERA with Kids2025年春号」(朝日新聞出版)から紹介します。

教員だって緊張する「春」

「学校の先生って春休みも夏休みも冬休みもあっていいね~」と言われることがあります。本当にそうだといいのですが、実際は子どもたちが休みでも教員は休みではなく、休暇を取らない限り出勤します。夏休みは比較的ゆっくり時間がつかえていると私は感じますが、春休みはとにかく忙しい! 子どもたちの1年間の記録の作成、新年度の行事の会議、クラス編成、教室の引っ越し、新1年生の入学予定数に応じた準備……。加えて、教員の出入りもあるのでてんやわんやです。いっそ、新年度の準備を夏にして、9月を年度はじめにするほうがいろいろと都合がいいのでは?と思ったりもします。

 ところで「次のクラスの担任はどの先生か」というのは子どもや保護者の皆さんの大きな関心ごとかと思います。担任は子どもたちにとって良くも悪くも大きな存在。そのぶん期待や願いがあるのは当然でしょう。ですが、だからこそ、新年度を迎えるときは教員側も緊張するのです! 新しく赴任してきた立場でない限り、うわさや評判は校内でまわっています。「あの先生はすごくいい!」「あの先生はイマイチ」なんて評判を、皆さんも一度は耳に(口に?)したことがあるのではないでしょうか。ですから、新担任が発表されたとき、子どもや保護者をがっかりさせてしまうんじゃないか……そんな不安が教員にはあるのです。

 以前、小学生の保護者向けの講演でお話しさせていただいた際、参加者が「担任の発表後、保護者は今年は『アタリ』『ハズレ』なんて話してます!」とハッキリと発言、ほかの皆さんも「それ、言っちゃう~?」と苦笑いしつつ「うんうん」とうなずく人も多く、ずいぶんと場が盛り上がりました。大切なお子さんとこの先1年間、もっとも多く関わる大人のひとりになるわけですし、保護者の皆さんともお話しする機会もあります。そりゃあ、そんな話になりますよね(笑)。

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AERA with Kids編集部
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