2022年の不登校の小・中学生は約30万人と、過去5年で倍増という急増ぶりを見せて最多を更新しました。なぜ、これだけ不登校が増えたのでしょうか。小中学生向けニュース誌「ジュニアエラ」(朝日新聞出版)1月号から解説します。

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学校を休む子にも優しい社会へ

 文部科学省の調査によれば、2022年の不登校の小・中学生は約30万人(図)。子どもが減っている少子化のなかでも、過去5年で倍増という急増ぶりを見せて最多を更新した。

不登校の小・中学生の数/文部科学省「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」から(朝日新聞社)

 なぜ、これだけ不登校が増えたのか。一つは「コロナ禍」の影響である。コロナ禍が始まったのが2020年。部活や学校行事がなくなり、宿題や予定変更が増えた。なくなった行事のなかには「一生に一度」と子どもが楽しみにしていたものもある。しかし「修学旅行がなくてつらい」と言える雰囲気もない。人は苦しさを吐き出せないと大きなストレスを感じることになる。いままでなんとかがんばって学校へ行っていた子も、コロナ禍によるストレスで行けなくなった、というのが増加背景の一つだ。

 もう一つは「いじめの低年齢化」。いじめが多い学年は小学校の低学年。これまで、いじめは中高生の問題だと思われていたが、この数年、低年齢化が顕著になっている。いじめがなぜ低年齢化したのか。理由のひとつに「子どもの多忙さ」を挙げる専門家は多い。学校が終わっても、習いごと、宿題、塾などに追われ、子どもは休む暇も遊ぶ暇もない。ストレスがたまり続ければ、自分でもコントロールできないほど無気力になったり、攻撃的になっていじめが起きたりもする。こうした要因から小学校低学年からいじめが多くなり、不登校増加の背景になっているのだといわれている。

 一方で、「不登校になったら無理せずに休もう」という雰囲気も広がっており、以前よりも休みやすくなったのも増加理由の一つだろう。無理をせずに自分を大切にすることはもちろんよいことなので、不登校の増加は悪いことばかりではない。

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