僕はシングルファーザーの時代があったのですが、再婚する際は子どもにありのままに話しました。「これ、ストレートに話したほうがいいのか、オブラートに包んで話したほうがいいのか悩んでるんだけど……ストレートに話すね」と変に気をまわさず、ふだんの会話と同じように伝えました。子どもは「ふうん、そうなんだ」とちゃんと聞いてくれました。そんな長男も、いつのまにか歴史に目覚めて、お城見学に行った際は「えっ、いつの間にそんなこと知ったの?」と驚くくらい深い知識を披露してくれたんです。成長を感じました(笑)。
子どもと接していると、忘れていた子どものころの記憶がよみがえる瞬間ってありますよね。次男がひらがなの練習をしているとき「ろ」を勢いあまって「る」と書いていました。「わかるー! そうなるよね!」と思っていると、消しゴムで消しながら、また勢いあまって今度は上のマスの字も消してしまう。「わかるー! そうなる、懐かしいー!」という、あの瞬間が僕は大好きなんです。これは、子どもと話しているからこそ味わえる感覚。どんなときも、何気ない会話の積み重ねこそ家族にとても大切なものなのだと感じます。
(取材・文/三宅智佳)
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