もちろん「読み、書き、そろばん」のような基礎学力は必要です。基本的な勉強ができていなければ、その後の「キャリア思考力」も育まれませんからね。ただ、やはり小学生のうちは、高学年でも、一日1時間くらいの基礎勉強で十分だと感じます。塾にお金と時間をかける分を、旅行などの体験に費やしたほうが子どもの将来の幅を広げてあげられるのでは、と思います。
自主性を開花させるにも親の導きは必要なのか
――一方、小学生で「本当にやりたいこと」を見つけるのも難しいところがあります。
「自由」といっても、子どもをほったらかしにして、ただ好きにさせておけばいい、ということではなく、ある程度は親の導きがあったほうがいいと考えます。ゲームや動画との付き合い方もそう。体験はなんでもよくて、好きな習い事やスポーツに打ち込むことだったり、家族や友達とキャンプに行くことだったり、ただ純粋に友達と遊ぶことも含まれると思います。とにかく、子ども自身が「楽しい!」と思えることで、さまざまな経験を積んでいけば、やがて自我が確立してくる。そうすれば、14、15歳ごろから、なんとなく志す道が見えてくるはずです。
高校や大学に通う年齢になるくらいまでに、できるだけいろんな人と関わることで、自分がやりたいことや行きたい場所を見つけられる。目標が決まったら、そこから本格的に受験勉強をし、高校なら高校で、大学なら大学で、行きたい学校を目指すなどの選択肢をとれば十分じゃないでしょうか。
わが子に中学受験をさせるつもりはない
――成田さん自身は、中学受験を経験されていますよね。
僕の場合、自分からすごく受験をしたいと思ったわけではなく、兄が先に中学受験をしていたので、自然な流れですることになりました。でも、それがベストな選択肢だったとは今も思っていなくて。逆に、中学受験以外の選択肢をとっていれば、もっと別の才能が開花した可能性はあっただろうな、と思います。中学受験勉強に費やしていた分、小学校時代に違う体験をしていれば、もっと早くに気付けたこともあっただろうと思いますしね。だから、わが子には「中受」という選択は多分取らないと思います。
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