――現在、8歳、5歳、0歳のお子さんを育てていらっしゃいますが、どのように過ごしていますか。

 上の2人は好きなように外で遊んだり、しょっちゅう友達を家に招いて遊んだりしていますね。わが家には大人も子どももたくさん遊びにきてくれます。子ども同士のやりとりや、身近な大人との関係性から学ぶことも多いと思います。

良い中学に入れても、“子育ての不安”は消えない

――早くから勉強をさせておかないと将来が不安という保護者は多いかと思います。また、公立中学校のカリキュラムに不満があって、私立の中高一貫校を目指す家庭も多いといいますが、それについてはどう考えますか。

 現在の公立学校のシステムや教育の質に不安を感じる人もいる、というのはわかります。ただ、そもそも学校に過度な期待をしてもしょうがない、というのが僕の考えです。

「私立=多様な学びができる場所」という考え方にも疑問を覚えますね。むしろ、社会にはいろんな人がいることを学ぶという意味では公立のほうがいいかもしれません。僕自身が私立中学に行って感じたのは、「結局、同じことの繰り返しだな」ということ。中学受験が終わったら、今度は入学した中学高校で大学受験に向けての勉強が始まります。

 実際、自分が通った中高一貫校は当時、東大にいかに多くの生徒を入れるかを目指すような学校でした。でもそんなことは人生にとって重要ではないし、ただシステムに乗っかっているようでは、面白い人なんて生まれるわけがない。これではいくら頑張っても、“子育ての不安”は消えないだろうなと思います。

 個人的には、勉強ができるかどうかより、むしろ、どんな環境でも楽しめる人になったり、周囲から好かれる要素がある人になれたりすることが大切なのではないかと考えています。だから、自分の子どもたちにもそういうことを大切にして、人生を切り開いていってほしいですね。 

(取材・文/玉居子泰子)

※後編<成田修造「将来、大学入試で一般受験がなくなる可能性は高い」 “通信制高校サポート校”を設立した理由を語る学びとは>に続く

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