おすすめポイント

 広い外の世界に居場所を探すため、家を出たふらいぱんじいさん。小鳥たちが飛ぶほうへどんどん歩くとジャングルに着きます。

 ジャングルではヒョウの夫婦が黒いふらいぱんじいさんを鏡だと思い込み、のぞきこんで「ひゃー、くろひょうは おれだ。」「あーら、あなたは ふつうの ひょうよ。くろひょうは あたしだわ。」とケンカをはじめます。次に会ったサルたちは、音がするじいさんを太鼓だと思って、取りあいひっかきあいの大騒ぎ。テンポよく次々場面が切り替わるので、童話を読みはじめたばかりのお子さんも飽きずに読んでいけます。

『ふらいぱんじいさん』(神沢利子 作/堀内誠一 絵/あかね書房 刊)

 ページごとに入る挿絵もとってもユーモラス。草原、砂漠、海などいろんなところへ行くふらいぱんじいさん。それぞれ、ダチョウのぽかんとした顔や、夜にラクダのぼうやと遊ぶ場面、嵐のときの波の表情(!)などおもしろい挿絵に笑ってしまいます。あざやかで生き生きとしたイラストレーションが子ども心をグッとつかみます。

 海の上でますます日に焼けて黒くなり、嵐のときは弱った小鳥を助けてあげる優しいふらいぱんじいさん。長い旅の果てに、足は曲がり、体もだんだん弱くなってしまうけれど、最後はちゃんと大好きなおひさまや卵のそばの居心地のいい場所を見つけます。幸せな読後感もおすすめポイントです。

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